走るナースプラクティショナー ~診断も治療もできる資格を持ち診療所の他に診療移動車に乗って街を走り診療しています~

カナダ、BC州でメンタルヘルス、薬物依存、ホームレス、貧困層の方々を診療しています。登場人物は全て仮名です。

研究の難しさ

2019年09月04日 | 仕事
なぜダイエットのエビデンスがないのか?

それは研究のデザインが難しいから。そしてその研究で誰が利益を得るのか?と言うポイントからも出資者が限られる点があります。

薬の研究はもちろん製薬会社が出資する場合がほぼ100%。信憑性と再生性に高い研究となれば強く薬を売りに出れるので出資を惜しまない場合が多い。

薬の研究は服用しているグループとそうでないグループを比較して行う場合が殆どなのですが、あからさまに飲んでいないとわかる研究デザインだと信憑性が下がります。だからプラセボと呼ばれる薬効作用のない薬の形状をしたものを飲んでもらいます。そうする事で治験に参加している本人たちもどっちのグループに属するか不明となり(こう言う形の研究をRTCと略して呼びます)。これが公平な研究結果に繋がるわけです。

癌の治療薬や小児関連の薬にRTCがないのは倫理的に許されないからです。癌は治療しないと死に直結する病気です。その患者にプラセボを投与するわけにはいかないからです。

で、偽のチョコレートやワインを作るのはかなり難しい。この為RTCは行えません。どちらのグループに分けられているかわかる研究では、他の関連因子の影響力が高くなります。それにチョコレートばかり食べて生きていくわけではないですから、他の食事環境も2グループの中で同等にしなければならない。しかし多くの人間に限られたダイエットを長期間行うことが自体に無理があるのです。研究はコントロールできる因子が多ければ多いほど信憑性が上がるのです。

このような事からOOダイエットがOOに効く!と言われてもどんな根拠があって(どんな研究をした結果で)そんな事をえるのか?となります。研究の内容(期間、被験者の数、コントロールできる環境などなど)を吟味すると信憑性がないと烙印を押したくなるものばかりです。

長寿の国、日本。特に元気な高齢者が多くいる沖縄に世界は注目していました。所得では日本で最下位なのに何故?ダイエットなのか環境なのか?と。しかし沖縄にも癌になる人もいれば心臓発作亡くなる人も。そうすると沖縄料理が、、、と断定できなくなるのです。色んな因子を取り除きピンポイントで比較する事が研究ですから。感覚的に、、、はエビデンスにはなりませんからね。

全くの科学的根拠なしで沖縄の高齢者の理由を聞かれれば、沖縄料理の旨さの他に私は青い空と青い海。古酒を嗜み宴会大好き。踊りと歌を楽しみ。笑いの絶えないコミュニティー、これが元気な高齢者の秘訣なのでは?と私は思っています。素朴な事を楽しみ人生を謳歌する。それがキラキラのもとでそのキラキラが年を取らない秘訣なのではと。よってサプリメントやダイエットに頼らず、人生を楽しむと長生きできるのではないでしょうか?

と、超大雑把に一般民にもわかるように研究にっいて書いてみたシリーズ終わり。



夕暮れ時もステキな場所でした。

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