走るナースプラクティショナー ~診断も治療もできる資格を持ち診療所の他に診療移動車に乗って街を走り診療しています~

カナダ、BC州でメンタルヘルス、薬物依存、ホームレス、貧困層の方々を診療しています。登場人物は全て仮名です。

頑固者 その3

2015年04月07日 | 仕事
入院中のケンをホームレスアウトリーチ ワーカーのデニーと訪れた。ケンの記事はこちら。退院と入院を繰り返し、今の入院は今までの中で一番長い。4人部屋にいるケンは以前あったより元気そうだった。オープンで明るくて別人のようだったのですぐ、なんの薬を始めたのだろうと感じた。しかしそれは思い違いでいつもの心臓の薬以外は服用していない。精神科へ紹介はしてあるが、まだ医師はケンを訪れていない。デニーのことは覚えているが私のことは全く覚えていない。だからか毛嫌いされずベッドサイドにいることができた。

病棟のソーシャルワーカーがケンの税金未納について、どの書類を提出すれば良いかわからず、デニーに協力を頼んできたのが訪問の理由だ。始めは"オープン"と思ったが、しゃべる割には内容が統一せず、話題はコロコロ変わるし、世論ばかりで自分のことは極力避けている。そう言う点では以前と変わりないケン。10年分の申請書にサインをしなければならないが、最終的にサインをしたのは昨年度の分だけ。無理強いはできないので今回はここで終了。

年金がもらえるようになれば家を探すことができる。医療保険が再開されれば退院後も薬を買うことができる。しかし、そこまで本人がすると思っているかはやはり不明。先はまだまだ長い。

もし、ケンが今日本当のことを話していたのなら、元医学生。ホームレス歴23年。最後に税金を納めたのは33年前。政府の世話にはならないとその時決めたらしい。病気になった今、政府抜きでは生きてはいけない。これからどうなるんだろう。



2 週間の長旅も、もうすぐ終わり。HWY66で西へ、いろんなサボテンをみました。

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