走るナースプラクティショナー ~診断も治療もできる資格を持ち診療所の他に診療移動車に乗って街を走り診療しています~

カナダ、BC州でメンタルヘルス、薬物依存、ホームレス、貧困層の方々を診療しています。登場人物は全て仮名です。

一滴の雫

2017年09月13日 | 仕事
診断や治療の難しさについて以前書いた記事はこちら

診断の難しさ
アート
プラクティス


カナダBC州でナースプラクティショナー(NP) になって正看護師(RN)だった頃と何が違うのか?

大きな違いは診断、処方、診断検査の指示と解読、専門医への紹介ができる事。

責任の違いはとても大きい。

病院で働く看護師はあまりピンとこないと思う。何故なら入院している人の大半がすでに診断がある人。私は健康な人が相手で、その方の調子の悪い時に診断をつけなければならない。星の数ほどある診断名から1つを選び治療を開始しなければならない。それには知識と技量が必要。

病院で看護師をしていた時は、医師に意見するRNだった。時に医師が思い通り処方をしてくれなかったり、患者の症状の変化の報告を蔑ろにされてムッとする事もあった。しかし、今は立場が変わって、如何に自分の知識が限られたものであったか知る事になった。

RNからNP学生へ、NP学生からNPへ、診断や治療に対する思いはどんどん変わっていった。責任の重い行為だと自覚が生まれてくるのだ。それが重荷になって職場を去る人もいる。私も診断や治療の難しさにギブアップしそうになる時も。しかしその難しさの中でうまくいった時の喜びは大きく、それが今の仕事のやり甲斐でもある。

NPが始まってからたった12年のBC州だから、ただ臨床をすれば良いわけではない。パイオニアである事、道を切り開き続けなければならない。そう言う知識と技術を教えてくれた母校に感謝する。

日本の診療看護師さん、そして診療看護師を目指す学生さん、同じように修士号を習得しているにもかかわらず、それを生かす事が限られている環境で働き、給料などもまちまちの中、頑張られている貴方に敬服します、そして心から応援しています。私はこれからもブログやツイッターで海外の臨床状況を書いていきます。それは優劣をつけるためではなく、グローバルな視点からヒントを得て、日本の土壌にあった診療看護師の道作りに役立てばと思っているからです。

大きな海原にいると一滴の水では何の違いも生まないように思えるかもしれませんが、その海原は一滴一滴の集まりです。どんなに小さくても集まれば違いは生まれてきます。マザーテレサの言葉です。小さな事からコツコツとやっていきましょう!いつかその波紋が周りに伝わり、大きなうねりになりますように。


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