走るナースプラクティショナー ~診断も治療もできる資格を持ち診療所の他に診療移動車に乗って街を走り診療しています~

カナダ、BC州でメンタルヘルス、薬物依存、ホームレス、貧困層の方々を診療しています。登場人物は全て仮名です。

信頼

2015年01月12日 | 仕事
イレインはアルコール依存とベンゾ系薬の依存がある。初めて彼女と出会った時、もちろん彼女は正直に言うこともなくアルコールの摂取量も少なく言っていた。ERや病院の入院記録、処方箋記録を見て知った、、、、。

そして彼女は鍵付きの急性期治療センターへ入院した。今は退院し、カウセリンググループや長期の治療センターへの入居待ち。そんな彼女がクリスマス前に転んで肋骨を3本折った。ERで診断された。それ以来麻薬を処方して欲しいと毎日のように電話をかけて来る。診察に来るように勧めてもそれには来ない。他の薬がなくなって再処方が必要になると言うのに以前から入れていた予約をすっぽかした。年が明けて初仕事日にまたもや電話。今日は来るからと言うが診療所の診察日ではない。移動診療車の日だ。それでも来ると言うので場所と時間を伝えるが其の通りには来ない。わざわざ予定を変えて、エキストラの場所を作り診察した。口先ばかりで行動が伴わないイレインにはいつもイライラさせられる。

ERで処方されたT3をどれぐらい飲んでいるか聞くと1日1ー2回ぐらい一錠ずつ。イレインは20年間ほったらかしにしているC型肝炎がある。C型肝炎とアルコールの組み合わせは非常に危険。病状を悪化させ肝機能不全を誘発させる。治療センターに行ったと言っても今でも飲み続ける彼女。前より量が少ないんだからいいじゃない!と言う。T3に入っているアセタミノフェンも肝炎患者には良くない。同じ理由だ。1日1ー2錠と聞いて安心した。そしてイレインはあと少ししかないから処方してくれと言う。

他の薬と同様1週間ずつの処方で悪用できないようにした。これについての前回の記事はこちら

先日なんとなくやな予感がしてイレインの処方箋記録を調べてみた。
愕然、、、、またもややられた。T3をこの2週間で合計80錠もらっているその上に私の処方箋も出している。1日5ー6錠飲んでいる計算になる。

あー彼女の言うことは信じられない、、、、。こんな人にもっと強い麻薬を出したらどんなことになるか、、、、あー恐ろしや。



ザイオン国立公園、ユタ州、アメリカ

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