走るナースプラクティショナー ~診断も治療もできる資格を持ち診療所の他に診療移動車に乗って街を走り診療しています~

カナダ、BC州でメンタルヘルス、薬物依存、ホームレス、貧困層の方々を診療しています。登場人物は全て仮名です。

煮えくらない

2021年05月03日 | 仕事
先日Twitterであげたものをこちらでも出しますね。とても良いメッセージだと思います。






Science is not the truth.
Science is finding the truth.
When science changes its opinion, it didn’t lie to you.
It learned more. By Deborah James

例の如く翻訳は下手くそな私ですから、日本語訳は勘弁してくださいませ。
しかしわかるように説明します。

例えば天動説と地動説。地動説が出てくるまでは天動説が真実で、天動説を説いた人は人民を騙そうとしたわけではない、ということです。そしてこれはこれだけの例ではなくて科学の中で多くある事で、その度に人類は新しい真実を学び続けているのです。

コロナで世界中が翻弄されている1年半が過ぎようとしています。前例のない未曾有の感染症。各国で科学者たちが情報を共有しそれぞれの国に合った(政治と経済との調整)対策を立てて来ました。真実は刻々と変わって来ています。その時、その時にある情報と知識でベストの策を打ち出す。私が仕事でしている診療と同じです

完璧な科学、決断、組織も人間も存在しないのです。だから真実や情報が変わった時に「騙したな!」「嘘つき!」と呼んだり、ましてや責任を追求して罪人にしてしまうのは真実を探求し続ける人間の活動を遅延させてしまいます。もしくは責任を取りたくない為に煮えくらない言葉のみの発言が蔓延ります。

先日、地元の新聞のこちらの記事を読んで落胆してしまいました。いくら聞いても答えてもらない、と焦燥感を通り越して怒りに聞こえて来たからです。BC州のコロナ対策のリーダーであるヘンリー博士の良いところは州民にわかる言葉で丁寧に話す事です。もちろん記者の質問に答えて専門的な事を言うこともあります。そうすると決まって記者が言うのは、専門家でないのでわからない。そうです。今回のコロナの現状は複雑で簡単にAだからBと言う言葉で済ませられるような内容なのです。ヘンリー博士だけでなく、母校の公衆衛生医師も言っていましたが、なぜ理由を聞きたがる?州民がやらなければならない事は全く変わらないのに、と。基本的な医療知識がないのにこの複雑な実情の背景(理由)を理解する事は大変難しいからです。そうなると勘違いされる可能性が高い。ならば説明しない方が有効と言う理論になるからです。これは国民を馬鹿にしている発言ではなく、科学の世界はそう言うものです。私はきっと宇宙の物理的な計算式の説明を聞いたってサッパリだと思います。それと同じです。

カナダの他の州に比べて、BC州は変異株よる感染が多いにも関わらず、対策をアジャストしながら、効果的に感染率を下げているのは素晴らしいリーダーシップのヘンリー博士のチームと政治のタッグだと私は思っています。しかし規制が強まるたびにラディカルな反対派は責任を取れ!殺人予告など、科学を全く無視した行動を起こします。しかし、そんな言葉に変わるリーダーたちではありません。完璧ではないから対策を修正しながら進んできた1年半。それはこれからも変わらないと思います。

と、ここまではカナダの話。日本はどうですか?コロナだけでなく、フクシマの事も、医療者に対する刑事責任の事も。どうしてこんな方向になってしまったのでしょうか?リーダーの不在。そしてどこもかしこでも責任論。終いにはリーダーであるべき人が口をモゴモゴ。

政治はすぐ変わらなくても、様々な意見が許される、真の言論の自由とディスカッションができる国になって欲しいと、外から願っています。

冒頭写真:末娘が撮った先日のストロベリームーン。なかなかのものです。もう一枚






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