走るナースプラクティショナー ~診断も治療もできる資格を持ち診療所の他に診療移動車に乗って街を走り診療しています~

カナダ、BC州でメンタルヘルス、薬物依存、ホームレス、貧困層の方々を診療しています。登場人物は全て仮名です。

新分野を切り開く

2020年09月23日 | 仕事
以前修士以上の学位を目指す動機についてさらっと書きました。看護師として成長したい、とか専門分野の知識を深めたい、このようなものは海外では院へ進む動機にはなりません。

昨日書いた病気と性。「これについて患者の声を医療へ活かすよう研究していきたい」これは院進するとても良い理由になります。このような事を言える人は病気と性の文献を読みあさり、今あるエビデンスを洗い出します。患者の声が医療に生かされていない部分を切り取り、それを埋める為に何をしたら良いのか?追加の研究の必要性などを芋づる式で引き出すからです。

違いが分かりますか?

先のような方式を出すと、きっと日本の人たちが次に言い出すのは、、、

「重症治療室に入院している気持ちを医療に生かせるように研究したい」でしょう。これは漠然すぎています。それにICU系の研究は既に沢山出ています。

違いが分かりますか?

医学の進歩によって中心的なものは次々研究されてきています。しかし陽の目を見ない分野があるのです。それは人種であったり、文化であったり、コンセプトであったり。
ホスピス緩和ケアが良い例でしょう。医療の敗北と言われていた分野が実は人間の人生を考えれば必要な医療の一部となったのです。

性嗜好の違いで必要な医療を受けれなかったトランズジェンダーも新分野。

小児と大人のガンケアのブリッジとして重要視され始めたAYA( adolescent and young adults ) cancer care も新分野。

Trauma Informed Practice をご存知ですか?

などなど、その特殊性が重要視されなかったものが陽の目を浴び出したのは看護のスカラーたちの貢献である事をご存知ですか?埋もれているもの、医療の中で蔑ろにされて苦しんでいる患者に手を差し出す、これが修士以上の学位を保持している者の看護なのですよ。


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