走るナースプラクティショナー ~診断も治療もできる資格を持ち診療所の他に診療移動車に乗って街を走り診療しています~

カナダ、BC州でメンタルヘルス、薬物依存、ホームレス、貧困層の方々を診療しています。登場人物は全て仮名です。

時代にマッチした仕事

2018年01月29日 | 仕事
昨日のブログを読んで、では医師も時間をかけて診察できる環境を作ったら良いのではないか?と思った人もいたはず。

医療の進歩は目覚ましい。その恩恵で寿命は伸びている。50年前にはとうの昔に死んでいた人が生きている時代だ。そのおかげで患者の病態の複雑化は以前とは比べ物にならないのだ。

患者の複雑化が起こったのに医療体制は変わらない。そこに問題があるのだ。カナダの中でもBC州のGP制度はサービスに対して支払われる。以前も書いたが患者をみればみるほど収入が増えるのだ。50人じっくり診てもパパッと診ても収入は変わらない。ならば時間をかけずにさっさと診察を終えたほうが良いと思うGPがいて当然だ。

NPは給料制。HAと呼ばれる保険機構に所属して給料をもらう。数より質を課せられる。何人患者を診ても給料は変わらない。しかし、もし数に対して支払われるようになれば私は十分な収入を得ることができない。看護師時代より低い収入になってしまう。心苦しくなるが生きる為なら複雑でない患者を引き受けて数が診れるようにすると思う。

ならばGPの支払いを数ではなく給料制にすれば良いのではないか?と発案する人も。カナダの他州で採用され、良い結果が出ている。しかしBC州の医師たちの大部分が反対するのだ。収入が減少する。数をみないGPが増えるなどが反対意見だ。当の本人が反対するのだ。

だって医師不足のお陰で医師は患者を選び放題。複雑な問題を抱える患者を拒否するのだ。どこで仕事をするかだって過疎は嫌。便利な都会が良いと。患者のためよりGPの都合で医療が行われているのだ。だから今の体制がGPにとって一番都合が良いことになるのだ。

で、NPの誕生はそう言うギャップを埋めるために丁度良いと言うわけだ。それに複雑化により、昔のように医師が1人で解決できた問題ではなくなった。チーム医療でその複雑なケースに臨む方が効果的であると言われている。そんな時代に看護師の背景を持つNPは時代にマッチした救世主でもあるのだ。なんたって1人で2役ですから。この点でNPの受け皿が大きくなったとも言えます。



まだまだ寒いのに花がつき出しました。

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