走るナースプラクティショナー ~診断も治療もできる資格を持ち診療所の他に診療移動車に乗って街を走り診療しています~

カナダ、BC州でメンタルヘルス、薬物依存、ホームレス、貧困層の方々を診療しています。登場人物は全て仮名です。

伴走

2021年11月12日 | 仕事
久しぶりに悪い知らせをしなければならなかった。

先日は余命の予測を話して政府からの緩和ケアのファンディングを得るための書類(これがないとホスピスへもいけないし、無料になる薬が増えない=症状緩和に必要)にサインをしてもらった。

今日は最期の時をどこで過ごすか。

一人暮らしの彼はどんなに自宅が好きでも自宅死亡するのはかなり難しい。今は自立しているけれど、服薬が一人でできなくなった時に難しくなる。清潔、排泄、移動のケアなどの介護士を入れることはできても薬の投与ができる医療者の介入は個人出費となる(医療者の訪問は症状管理= アセスメント、評価、調整 であり投薬ではない)。一般的には家族に指導して家族によって施行される。

そして彼の癌の進行スピードと状況から大出血、窒息死の可能性もある。心肺蘇生をしない意思を示す彼にその書類もサインしてもらった。

ホスピスの話をした。絶対いかない、そんな状態にはならない!と言う彼。

各専門医からの説明時も手術はできないと言われた時も、腫瘍放射線科医かの説明時も、悪いニュースを真摯に受け止めていたように見えた彼。誰の世話にもならない、自分でどうにかする!と言い張る。

同行したオリエンテーション中のNPが彼はやっぱりわかっていなかったのよ、と後で言った。この1ヶ月次から次へと聞かされる悪いニュース。消化できる方がどうにかしていると私は思う。長い付き合いの彼。これからもゴールをきるまで伴走を務めさせてもらいます。


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