走るナースプラクティショナー ~診断も治療もできる資格を持ち診療所の他に診療移動車に乗って街を走り診療しています~

カナダ、BC州でメンタルヘルス、薬物依存、ホームレス、貧困層の方々を診療しています。登場人物は全て仮名です。

被害者

2015年03月19日 | 仕事
ドメスティックバイオレンス (DV)。日本でも馴染みある言葉になりつつある。DVには身体的暴力
精神的暴力
性的暴力
経済的暴力
の4種類。

夫から妻へ
妻から夫へ
親から子供へ
子供から親へ(特にこの場合は高齢者の親)
同性愛者に間にも起こる。

その被害者を新患として迎えることもある。
先日も母親とその息子がやってきた。息子は6歳。母親が暴力を振るわれるのを見ながら育った。離婚が成立してからはDVのシェルターにあるグループカウセリングに二人で行った。母親の症状がひどく最近精神科医に診てもらうようになった。

診察中に時折泣き崩れる母。息子はそんな母親をしばらく見つめてから思い立ったように立ち上がり、ハグをして、キスをして大丈夫だよと慰める。その姿は6歳の子供というより大人のような行動に見える。
そして席に戻りスマフォのゲームに戻るのだ。
私と話す時の反応は年相応の反応なのに、母親の感情には違う態度を示す。

子供は順応能力が高い。母親を守らなくてはとの思いからだろう。しかし、子供が子供でなくなる瞬間を観るのは非常に辛い。



西部劇に出れるかしら?


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