走るナースプラクティショナー ~診断も治療もできる資格を持ち診療所の他に診療移動車に乗って街を走り診療しています~

カナダ、BC州でメンタルヘルス、薬物依存、ホームレス、貧困層の方々を診療しています。登場人物は全て仮名です。

看護師のキャリアアップ その2

2018年06月06日 | 仕事
昨日の続き

ツイッターで日本の看護師をカモにしている海外日本人講師の批判を読みました。私はその講師がうんぬんと言う前に、感じるのは行き詰まりの日本の看護師のキャリアです。世界的には看護師は最も信頼される憧れの職業の上位ランキング(カナダにおいては1番)の職業。社会からは尊敬され、信頼される存在。看護師は医師のお飾り的な考えはゼロ。教育システムは整備され、出来るものは抜擢され、進学し、給料も上がる。看護部長に留まらず、キャリアの道は多様にあるのだ。

その一方、日本の看護界はどうだろう。保助看法の解釈も改正もないまま、今に至っている。社会的地位も名誉も看護大学が主流になる前と同じまま。認定が出来て20年。認定をとってもそれを最大限に活かしている人はそれぐらいいるのだろう、と思ってしまう。数を輩出した結果どのような変化をもたらしたのか?どこにそのデータは見つけられるのですか(折しも認定制度の再構築とやらで看護協会のページを読んでみましたが、アンケートの結果を読んでも、それは明白ではありませんでした。そもそもその意図と考察さえわからない)? 診療看護師においては国家資格もなくレギュレーションさえない。そこにとってつけたような特定行為看護師。やれることは限られ、教育の水準安定の保証もないまま数を増やすことに躍起になっている政府と看護協会。

日本の看護師さんほど勉強熱心な人たちはいないと思っています。だから研修産業は生き残り、看護のHow To 本 (看護の専門雑誌や参考書と呼ばれるもの)は未だに売れ (日本だけですよこんな本が売れるのは。カナダでは見たこともありません)るのはその為だと思います。しかし私はそういうものを買い求める人をカモとは呼びたくない。学びたいと思っても学ぶ場所が限られ、学んだことを活かす場はあっても、給料にも名誉にも反映されない職場。それなのに自腹を切って研修へ参加する人たち。凄いと思います。昨日のカナダの現状と比べてみてください。誰も自腹を切って、仕事以外の時間を使って研修や勉強会へ行きません。しかし同時に不敏だとも感じます。だってどんなに頑張っても自己満足の域を超えられない環境で働いているのだから。私はこの体制を変えることが、看護師をカモ呼ばわりするより、講師や研修産業を批判するより重要だと思います。

大学や大学院へ行けば良い、も正しいかもしれない。しかしその大学も世界的な貢献をしている、貢献できる人を輩出している日本の大学はどれぐらいあるのでしょうか?世界的な医学雑誌や看護雑誌への投稿数の少なさからは、大学での教育の質が疑われます。もしくは笑われるだけです。英語が苦手だからでは世界に取り残されて良い理由にはなりません。真のアカデミアになりたいのなら英語苦手意識なぞ払拭するぐらいにならなければ近ずくことさえできませんよ!

それに看護のキャリアの道はアカデミアだけではないはず。それを阻んでいるのは体制なのでしょうか?それとも看護師自身なのでしょうか?

続く


最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。