走るナースプラクティショナー ~診断も治療もできる資格を持ち診療所の他に診療移動車に乗って街を走り診療しています~

カナダ、BC州でメンタルヘルス、薬物依存、ホームレス、貧困層の方々を診療しています。登場人物は全て仮名です。

強力助っ人

2014年11月13日 | 仕事
プランDはジュシカが地元の病院に突如現れ出産が進行しているケースを想定して地元の病院と計画を練る最後の手段。マタニティ病棟のPCCに電話をした。
今までの経緯、ジェシカはメンタルヘルスや薬物依存専門の産科へ行く気が全くないことなど伝えた。最初の反応は冷めた感じだった。
とりあえず言われた通り今までの記録をファックスした。

後日電話をもらった。PCC経由で産科医グループ、小児科医グループ、ソーシャルワーカー、パブリックヘルスチーム。地元の出産前後に関わる全ての人にジェシカのことを伝え準備していると。記録を読んで皆私の仕事に感心したそうだ。こんな状況でも産前ケアを行っていることに。

パブリックヘルスチームはホームレスと知っていて、産前産後教育を行いたいから本人に受け入れる気があるか伝えてと言われた。NSTのついでに病棟のツアーをするからと看護師に勧められた。

これを聞いたジェシカの喜びと言ったら。今までのアプローチは彼女の自由を奪うものばかり。母親になりたいという彼女の気持ちは薬物依存という事実で覆い隠してあったような状況だったから。いや、他の専門の施設に行っても同じようなケアは受けられる。しかしジェシカの受け止め方は違った。どうして地元の病院で出産できないのか、子供を取り上げられるために他の施設に行かなければならない、と彼女の疑いは消えなかった。

今も毎日のように手に入るものならなんでも使用している彼女。先日も図書館のトイレで自己注射をしているところを一般人の母娘に目撃され大騒ぎに、、、、。
このような状態では出産後子供をキープできる可能性はゼロに等しい。だからと言って普通のケアが行われないのは、と他の妊婦さんと同じように接するという地元のチームに頭が下がった。

34週を過ぎた。あともう少し。強力なチームが出来て私も嬉しい。



この写真は初めてジェシカと妊娠について初めて話ができた日。ホームレスアウトリーチのデニーが遠くから撮ったもの。はい、公園の芝生の上で仕事をしている私です。

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