走るナースプラクティショナー ~診断も治療もできる資格を持ち診療所の他に診療移動車に乗って街を走り診療しています~

カナダ、BC州でメンタルヘルス、薬物依存、ホームレス、貧困層の方々を診療しています。登場人物は全て仮名です。

国公立病院の再編成- 医療にかかる人件費

2019年11月10日 | 仕事
シリーズ9日目

日本の医療は安いと言われています。急性期病院の一床あたりのコストが諸外国に比べて低いのです。高額な医療機器を取り入れているのに何故?と諸外国は思います。答えは簡単で人件費が低いのです。これは医療者に関わらず、「先進国であって低賃金」の日本も海外で知られています。これについて以前書きました。

賃金の違い
団結すると

医療者の人件費が低い事で何が起こっているのでしょうか?

医師の働き方改革はどこから発生したのでしょうか?研修医を含む医師に対し激務を課しているのに相当する給与を支払っていない事が明らかになったからですよね。そんな費用を支払えば経営が成り立たないと公言する病院が出るほど。自己研鑽?労働基準法が当てはまらない特別職???労働をさせておいて報酬を払わないのであれば丁稚や御奉公と呼んだ方が良いのでは?封建社会で成り立つ日本の医療と呼んでもおかしくありません。このような状況の医療体系はどんな言い訳も通りません。先進国として恥じるべきです。

労働条件の悪さはあることを引き起こします。人材流出をご存知ですか?労働条件の良いところへ人は流れます。特に特別な技術や知財を持つ者に高頻度で起こります。カナダのお隣はアメリカ。同じ言語を使い、医療職のレギュレーションも同じ。高賃金を求めて多くの医療者がアメリカを目指しました。それを引き止めようとカナダも必死です。そのおかげで医師の給料が高く設定されるようになりました。仕方のないことです。日本は幸いにも英語という障壁を越えれない方が多いため人材流出が起こりにくいですが、若い世代はずっと堪能ですよね。既に大学院や先端企業(研究室)のヘッドハンティングも珍しい事ではなくなりました。医師の間で海外を目指す事が当たり前になってもおかしくない状況ですよ。

医師はここまでにしておいて他の医療職について。
医療が高度化すればするほど諸外国ではその複雑化に合わせて様々な職種の重要性を認識してきました。例えば看護師の中でも臨床家から研究家まで。臨床家の中でも日々の業務をする看護師の他に臨床教育の専門家、研究を臨床に落とし込む(エビデンスをポリシーや業務に盛り込む)専門家。これらは従来の管理者とは異なります。管理者とは違う働きをする看護の専門家の重要性です。それらの専門家は一般の看護師教育と自己学習と経験だけではやれないような高度な知識と技術とビジョンを持つ者によって行われます。なので大学院での学びが必要になります。海外では大学院へ入る事も卒業する事も簡単ではないので、雇用主もその時間と出費に見合った給与を支払ってくれます。
残念ながら日本では専門看護師として雇われてもさほど給料が変わらず、直接患者ケアの傍専門家としての活動が余儀なくされているとか。そんな条件で本来の能力が発揮出来るのでしょうか?それとも忠誠心と名称に対する誇りで乗り切って欲しいとでも言うのでしょうか?このような視点からも日本の看護が世界に出遅れる一因でもあると思います。

こんな贅沢な話以前に、今の状態からの医療職の給与カットですか?

超高齢化少子化社会を迎えることを予測していなかった、なんて言い訳は通用しませんよ日本のみなさま!

まだまだ続く



この国立公園はテラス状になった湖から湖へ沢山の滝が流れ込む姿の美しい公園です。

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