走るナースプラクティショナー ~診断も治療もできる資格を持ち診療所の他に診療移動車に乗って街を走り診療しています~

カナダ、BC州でメンタルヘルス、薬物依存、ホームレス、貧困層の方々を診療しています。登場人物は全て仮名です。

街づくり

2014年12月04日 | 仕事
師走。言葉通り忙しい毎日。特に今週は会議が続きヘトヘトだ。火曜日はディナー兼勉強会が夜の9時まで。水曜日も同じ。木曜日の今日は午前中缶詰。金曜日は昼から缶詰。そして夜は職場のクリスマス会。その合間を縫って診察する患者は誰もヘビーな問題を抱えている人で他部門と連絡を取ってケア計画やら専門医に紹介が必要。
山積みの机を横目で見つつ週末が待ち遠しい。

今日の会議というより集会は街ぐるみで子供にとって安全な街を作っていこうという、州の新しいプロジェクトの決起会のようなものだった。
そのまとめがこれ。




すごいでしょうこの人、即興で会議の内容をこんな風にまとめることが出来るのです。

このプロジェクトのきっかけになった事件がこれ

父親が3人の子供を殺したが彼に責任はなく、それを予防できなかった州のシステムに問題があるというより判断が下された事件だ。この事件を繰り返さないためにシステムをどう変えていくか、プロフェッショナルの垣根を越えて共に虐待や家庭内暴力をどうやって防いでいくかが取り組む課題だ。ヘルスケア、州の保健局、MCFD(子供の保護をする省)、学校、カウセンラー、NPO団体、警察、司法、政治家、、、と大勢の職種が集まった。

この父親、子供たちを殺してしまった週だけでも14のプロフェッショナルとコンタクトがあり3回も警察によって拘束されている。なのに子供の死は防げなかった。プロフェッショナルの横のつながりが薄く、紹介という形で次々に責任が回された結果だったとか。学校でも全く問題を示さない子供たちだったので学校側も虐待が続いていたとは知らなかったとか。

今の仕事を始めてから虐待の傷が薬物使用のきっかけだったり、学校の中退、人への不信感、と傷を背負って生きている人たちに出会っている。この男の人のように精神病を持っていながら親としての役割もありサポートなしで生きていくという辛い現状の人もだ。メンタルヘルスに対するスティグマ、、、だれにも相談できないと子供たちは沈黙の中でサバイバルしているのだと改めて考えさせられた。


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