走るナースプラクティショナー ~診断も治療もできる資格を持ち診療所の他に診療移動車に乗って街を走り診療しています~

カナダ、BC州でメンタルヘルス、薬物依存、ホームレス、貧困層の方々を診療しています。登場人物は全て仮名です。

お腹が空いた午後

2016年09月08日 | 仕事
8時間勤務に持っていくもの。お昼のお弁当と朝と昼のおやつ。昨日の昼からのおやつはオレンジだった。

午前中のクリニックでの診察を終え、午後からのアウトリーチを済ませクリニックに戻る頃電話が鳴る。クリニックのスタッフから。私の患者が緊急で診て欲しいってきてるけど、と。

でもクリニックの診察室は他の医師が使っているから私の診察室はない。他の医師の予約状況は?一室使わせてもらえないか尋ねる。OKが出た。

この彼、先週、車と接触事故で足を負傷。彼のバイクはお釈迦。足の親指を骨折しただけだったとか。しかし足が痛いと泣き出す。普通、彼がした親指の骨折はギブスとか手術とか松葉杖さえも必要ない。しかしあまり痛がるので救急室でエアーキャスと松葉杖を貸してもらったらしい。で、診察結果これと言った所見はなく様子を見ることに。救急室で出してもらえなかった痛み止めは出しましたが。

で、彼が言う。何日も食べていないんだ、と。痛みがひどく歩けなかったのでずっとブッシュキャンプにいたからだと。彼のキャンプは林の奥深い所にある。いつもはバイクでフリーの食事を食べに行く彼。それが1週間近くできず、ペコペコだと。移動診療車には食べ物も載せている。しかしここはクリニック。何もない。サンプル品の戸棚を開けると子供用の総合栄養ドリンクが。ないよりはマシかと2本あげる。水筒に水も入れてあげた。帰り際にフリーの食事配布の場所へ寄るというが、まだ3時間もある。なんだか不憫に思え自分のオレンジもあげてしまった。

彼は頭を深々下げて帰って行った。

あーあ、お昼のおやつが無くなっちゃった。



松はポンデローサパインと呼ばれる松。真っ直ぐ大きく育ち建材などに使われますが、松食い虫の被害が酷いこの辺り。暖冬のせいで被害は進みます。少し背の低い木はタンボルウイードと呼ばれる、西部劇で風に押されグルグルと転がる茶色い枯れ木になるんです。ガラガラ蛇も草むらに隠れています。

最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。