走るナースプラクティショナー ~診断も治療もできる資格を持ち診療所の他に診療移動車に乗って街を走り診療しています~

カナダ、BC州でメンタルヘルス、薬物依存、ホームレス、貧困層の方々を診療しています。登場人物は全て仮名です。

銃撃事件

2022年07月26日 | 仕事
月曜の朝はいつも起きるのが辛い。週の始まりだもの。6時にかけた目覚ましを消してダラダラしていたところに入ってきた警告。家中のスマホがビービーと鳴り出す。

私の職場があるエリアで複数の銃撃事件が起こっているのでエリアに近づかないように、と出てきた。

ひえー。眠気が吹っ飛んだ。1時間後にもう一度同じ警告が入る。どうしよう今日の出勤。予約は全部埋まっているのに、、、仕方ない。家からリモート診療にしようと決めた。そして7時代後半になるとニュースが出てきた。銃撃事件は4箇所で起こったらしく、その場所もわかった。容疑者は死亡と出ていた。診療所も今日行くシェルターもその区域には入っていない。ならば出勤しようと出かけた。

カーラジオもつけていたし、診療が始まってもラジオをつけっぱなしにしていた。でも全国ニュース。事件の詳細は全くわからない。

で、9時半ぐらいにNPリードから地元のNPに向けて労いのメールが来る。次には私宛にくる。大丈夫か?と。しかし診察中。無視していると、今度は電話がかかってくる。それには対応して、診察続行。次はテキスト。どこのシェルターにいるの?と次は必要ならば助っ人のNPを送るから!と

もうこの時点で??????

11時半ごろには診察室のドアをノックする音。このクソ忙しい日に誰なんだ!!!!「ただいま診察中。後にしてください!」とぶっきらぼうな返事をしてドアを閉める。患者は診察室を出て行ったが、私は薬局に電話をしなければならない。そうするとまたドアをノックする音。

もおおおおお!と腹を立てながらドアを開けると、「美加!OOよ」とその人は名乗る。そこで気づく、リードグループの1人だった。コロナ禍になって以来対面していないからか(いや私の気持ちに全く余裕がなかったから)気づかなかった。

「何か手伝う事ない?私にできることを言ってちょうだい!」と矢継ぎ早に言われる。

忙しくて失礼な対応をしてごめんなさい、でも大丈夫です。と帰ってもらった。午前の診察を終えて昼休み中に状況調査を始める。仕事で関係するNPOや診療所の受付嬢に、私の患者が診察を願って押し寄せていないか?など電話で聞きまくる。ここで知った。既に死亡と発表された人を私は知っている(私の患者ではないが、今の仕事を始めてからずっと知っている。挨拶ぐらいする関係)。もしかして私の患者層を狙った銃撃事件????で、2時のニュースでホームレスを標的にした事件だと理解したのだ。


加ブリティッシュ・コロンビア州で銃乱射、容疑者含む3人死亡(ロイター) - Yahoo!ニュース

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[ラングレー(ブリティッシュ・コロンビア州)25日 ロイター] - カナダ西部ブリティッシュ・コロンビア州で25日朝、銃乱射事件が発生した。現地の警察によると、容疑者...

Yahoo!ニュース

 


だからだ。だからボスたちは私の心の状況や応援が必要かどうかコンタクトを取ってきていたのだ。ようやく点と点が繋がって全貌が理解できた。

全ての診察を終わったところで、現状報告と失礼な対応の謝罪のメールを送った。すぐ返事が返ってきた。美加は本当に強いわね、とコメント付きで。

相方曰く、こんな事が起こると出勤しない、パニックになる人は多い。そう言う人に比べて、って事じゃない?と。カナダ人の平均像より心臓に毛が生えているってことか。他の被害者の名前は出ていない。私にも私の患者達にも影響が出るのは数日後なのかもしれない。

ご冥福を




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