走るナースプラクティショナー ~診断も治療もできる資格を持ち診療所の他に診療移動車に乗って街を走り診療しています~

カナダ、BC州でメンタルヘルス、薬物依存、ホームレス、貧困層の方々を診療しています。登場人物は全て仮名です。

全人的な

2016年04月19日 | 仕事
看護は人間を看ている。病気の一面だけでは無い。患者さんの背景を知ることは看護をする上でとても重要だということを看護学校の時から何度も言われてきた。26年ものキャリアの中でもそれは大切だと思っている。

このおじさん、あの日以来飲んでいません。1年半も妻と一緒にホームレス生活。それに対して何もしなかったこの人。少しずつ前に進んでいます。

で、今日の診察で静脈塞栓の痛みに悩まされるまでは会計士だったこと。ゴルフ好きで、この街に越すまではフォークバンドのリードシンガーだった事を知りました。そして奥さんの事をとても深く愛している事を。

不思議です。それまでは不整脈、愛煙家、静脈塞栓で片足をなくした車椅子のアルコール依存症のホームレスのおっちゃん、からイメージが変わるのです。

奥さんはこの方、抜き出たピンを自分で引き抜きました。10cm以上もあるピンですよ!

夫婦でアルコール依存症!その上ホームレス!仕方が無いね、の絵図は私の頭から抜けませんでした。

しかし、今日の診察で少し思いが変わりました。不思議です。誰も薬物依存やホームレスのとして生まれてきたのでは無いのです。誰もがそこに行き着くまでの人生があるのです。ホームレスになるまでの過程を聞き、自分の修行の足りなさを反省しました。知らぬうちに病気しか見えていなかった自分を。



只今夕方6時。写真は庭の温度計。28.5度!夏日でした。

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2 コメント

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こんばんは (のびた)
2016-04-19 19:54:39
健全な生活を送っていたご夫婦がどうして こんな風になってしまったのでしょう
這い上がる為のきっかけが メンタルヘルスと看護でしょう 少しでも自身の心が前向きになったことが希望です
アルコール依存症 怖い病気ですね
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のびたさんへ (美加)
2016-04-21 07:08:11
2人がほぼ同時に健康を損ねてしまった事が依存症の悪化につながったようです。連鎖反応的に崩れていく健全な環境。悲しい現実です。
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