走るナースプラクティショナー ~診断も治療もできる資格を持ち診療所の他に診療移動車に乗って街を走り診療しています~

カナダ、BC州でメンタルヘルス、薬物依存、ホームレス、貧困層の方々を診療しています。登場人物は全て仮名です。

車と失明

2019年08月13日 | 仕事
プライマリーケアをして絶対見逃してはならない疾患がある。その内の1つに目の痛み。

痛くて嘔吐してしまうとか、光が眩しくて目を開けられないとか、急に視力が落ちた。これらのどれかを伴うと緊急事態となります。何せ対応が遅れれば失明の可能性が高くなるから。学生の時にしっかり教え込まれました。

で、この仕事を始めて6年となりますが、始めてこの目の緊急事態と遭遇。すぐ眼科医オンコールを呼び出し紹介。しかし地域の当番のオンコール医は本日隣町。したがって私の患者は隣町へ行かなければなりません。しかし彼は家族も友達も車を持っていない。サポートワーカーに頼むが、隣町まで行ける人はいない。仕方ない、救急車を呼ぶか、、、と思ったら彼が、1人では行かない。彼女と行きたい!と言う。

そりゃそうだ不安な時には誰か側にいて欲しいのは当然。しかし救急車に家族は乗れない。そうすると彼は自分でどうにかする!と出て行ってしまいました。だああああああああ!

ひっ捕まえて、緊急に対応しないと目を無くしますよ!と言ったが、それを振り切って出て行った彼。

きっと行かないだろうな、失明するんだろうな、でも自分のできることはした。あとは患者の意思決定に任せるしかない、、、、、

家族や車がある事が当たり前で社会のシステムは作られているから、タクシー代も出せない私の患者層にはこんな事が起こるのです。ここをなんとかしなくては、、、


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