シリーズもの3回目。
で、以下は先日のブログでTwitterの方で@keita_genuineの返信の中にも書いて下さった事です。
スタンダードやレギュレーションは地域格差を小さくする。やるべき事をやらなかったで訴訟にならない。
この点について話しましょう。
地域格差をご存知ですか?格差というのは多くの分野で生まれてしまうものです。例えば公共交通機関の数。都会は多く便利ですが田舎にはありませんよね。それと同じように医療でも格差が生まれることがあります。それらは健康に影響を与えるので最小限に努めることが医療者の定めです。
都会の大きな病院で働く看護師さんと田舎の小さな医院で働く看護師さん。この2人の間に質の違いが生じていたら、あなたはどう思いますか? 貴方はどちらか一方しか経験していないので比べようはありませんが、引越しなどで両方を経験する人はいると思います。差があれば質の低い方の看護師に不満を抱くかもしれません。不満が訴訟に繋がるかもしれません。これを避けることができるのがスタンダードやスコープなのです。これらにより地域が違っても最低限期待されるものが何なのか本人、雇用主、そして国民に対して明確になるのです。そして免許更新のような管理機能で最低限の質を確保できるのです。
他の例を挙げましょう。特定行為研修制度が始まる前に、人工呼吸器の調整などをしていた看護師は多くいたはず。上司から言われて、もしくは医師から言われて、看護師としてやって良い行為なのかどうか?と疑問に思った人がいたかもしれません。もしくは丁寧に教えてもらったからと疑問にも思わず医行為を行っていた看護師は多くいるのではないでしょうか?スタンダードやスコープは看護師としてやるべきでない事を(免許で許されている行為以外の行為)してしまう看護師を最小限にする効果もあります。上司に言われたから、毎年やっているから、医師に命令されたから、このような理由は行為の正当な理由とはなりません。確かに保助看法には療養上の世話と診療補助行為、と言う言葉はありますが、具体的にどれとどれを指すのかを明確にできますか?そのような時に頼りになるのがスタンダードやスコープなのです。これにより、スタンダードにない事だからやってはいけない、と気づける道標的な役割もあります。
法律や規則は何層にもなっているのが普通で、いろいろな方向へ解釈できる大義のものから細かいもの(実践的)に文章化されていくのが通常です。大きな傘の下に傘が何層にもある様子を想像してください。大きなものは法律で定め、実践的なものは実践者によって定められる事により現実的なものになるのです。その現実的な規則を作れるのがガバナンス(自治)なのです。
続く
冒頭写真: ノルクゥエ山から見下ろしたバンフの街。