走るナースプラクティショナー ~診断も治療もできる資格を持ち診療所の他に診療移動車に乗って街を走り診療しています~

カナダ、BC州でメンタルヘルス、薬物依存、ホームレス、貧困層の方々を診療しています。登場人物は全て仮名です。

公開の意味

2022年11月26日 | 仕事
日本の学会で、訪問看護の質-質から質改善へ-のパネルディスカッションを聴講しました。質問があったのに質問時間は1分しかない、と言う変な時間構成。1人の方の質問で終わってしまった。とっても残念。

で、私は何を質問したかったか?

患者側の複雑さをどうこの評価に結びつけるか?

だって、看護師何をして、患者がどう変わったか? 患者や家族がどう満足しているか?のアウトカムは患者の複雑さを反映しませんか?ってところ。疾病の重症度、介護の重症度、患者自身の目標、収入や家族環境など左右する因子は山ほどある。それを無視して平均値は出せるはずない、と思うのですが、みなさんはどう思いますか?

カナダではアクレディテーションという指標で医療施設の評価が出ます。しかしそれは組織としての評価に近いと思います。システムの内容。教育や安全、衛生、オリエンテーションの内容、記録方法、スタッフの福利厚生。患者の苦情窓口、処理の仕方、無駄のない命令系統、予算管理、患者の流れ、滞在期間や待ち時間などなど。

前回の日本APNシンポジウムでも話しましたが、結果はアクセスできるようになっています。検索すれば出てきます。厚手ですが面白いからチェックしてみてくださいませ。

看護の質にはスタンダードやスコープなどが使われます。成績表を付けるためではなく、フレームを作る事で、それ以下のケアの提供を防ぐのです。なので私はこのパネルディスカッションを飲み込めないでいました。

1人だけできた質問は、評価結果の公開を求めていました。んんんんんん〜今、日本では在宅業界は花形業界。2人看護師がいれば開業できるので、開業する人が多いとか。しかし同時に閉業も。大手は資産も資源もあるので、このような評価は良く出るに決まってます。評価が顧客集めに使われる可能性はとても大きい。大企業が勝ち、小企業が淘汰される図式、、、。どうなんでしょうねえ。これは急性期病院でも既に起きている現象。大きい系列の病院は資源がある。評判もある。その陰で小規模病院は現代の波に乗れないまま。在宅でも同じことを起こさせるつもりでしょうか?

回答者は、結果が有効であるか、意味があるのか、見極めるまで公開はできない、と頼もしい返事。将来の行方を外から見ていますね。


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