今週のニュース。米国カリフォルニア州から。
DNPを持っているナースプラクティショナーがドクターを名乗り医師と勘違いされる呼称で働いていたとして約1万8千ドルの罰金を命ぜられたニュース。詳細はこちら。
DNPを持っているナースプラクティショナーがドクターを名乗り医師と勘違いされる呼称で働いていたとして約1万8千ドルの罰金を命ぜられたニュース。詳細はこちら。
DNPとは?Doctor of Nurse Practitioner 米国で始まった学位です。他のアカデミックと同様、看護にもPhD of Nursing があります。これは世界中どこでもあります。何故DNPが作られるようになったか?それはアメリカのNPプログラムの歴史に関係しています。以前書いているので、こちら。
2年前アメリカ全土のNPライセンス団体働いている人と話す機会があり質問したこともありますが、米国でNPの最低学位がDNPになるのはまだまだ遠い未来だと言っていました。
さて、ニュースに戻って、彼女は裁判に負けたわけですが、記事を読むと医療者の中にドクターを敬称に使う人がいる中、何故彼女が標的になったのか?と書かれています。確かにPhDは全ての学問にあり、取得した人は自身をドクターと呼ぶ事ができます。理学療法士、作業療法士、ソーシャルワーカーに栄養士。医療関係以外の博士もある。しかしMD(メディカルドクター)とDNPは様相が異なります。だって処方をしたり、診断をする事ができるわけだから一般庶民にとっては誤解を招きやすいのは確か。
私だって患者に何度もドクターと呼ばれます。訂正すると、「自分にとってはドクターと同様だ」と跳ね返されます。そう、庶民にとっては自分が健康になるかどうかが重要で学位や背景はどうでも良いのだと思います。しかしこのケースはそうではなかったようです。
それに米国では州によりNPの自律度の設定は異なります。カリフォルニア州は医師の監督が必要なはず。しかしこの方は開業をされています。監督医が誰かを示していなかったのも原因のような、、、、
悲しいのは免許を失う可能性。裁判中に免許を管理する団体から辞める事を警告されています。私の免許も同様です。有罪は免許取上げに繋がりますから、判決が決まる頃には元OOになるように取上げ(容疑によっては選択なく取上げ)、もしくは自主的な免許返還を求められます。よって免許を発行する団体は既に彼女の後ろ盾をしないポジションにいる事が明らかで、免許を保持するためには団体相手に裁判を起こさなければならない可能性。しかしそれには費用が、、、。前述の裁判に負けているので裁判料の支払い(罰金とは別途)そして次の裁判と、、、金銭的にも崖っぷち。ニュース記事にはクラウドファンドのリンクがあります。
そういえばもうすぐ私の保険料の更新日。こういうことのために保険にはしっかり入っていなければ、と改めて考えさせられました(私は免許管理団体相手に裁判を起こす時の保険に任意加入をしています。開業するなら更なる保険加入を勧められます。責任の重い仕事にはいろいろな訴訟の可能性あり)。他人事ではありません。このケースの行方を見守っていきたいと思います。
冒頭写真: ここの工房でしっかりお土産を購入しました。芸術家や職人を微力ながらサポートしたいと思っています。