走るナースプラクティショナー ~診断も治療もできる資格を持ち診療所の他に診療移動車に乗って街を走り診療しています~

カナダ、BC州でメンタルヘルス、薬物依存、ホームレス、貧困層の方々を診療しています。登場人物は全て仮名です。

常識

2015年09月05日 | 仕事
5ヶ月前に屋根から落ちて首を折った彼。歳は60才。大工として長年働いていたが解雇となり、職を探している時に手伝って欲しいと友達に頼まれ"手伝っている"時に事故は起こった。正式に雇っていたわけではないからと保険は出ず、5ヶ月がたった。収入がないため家賃の支払いは滞り困っていると彼はやってきた。

一命は取り留めたが後遺症が残り大工としては働かないほうが良いと専門医から言われた。生活保護金を申し込んで、自分は働けないんだと窓口で言い張ったそうだ。証明するものが必要ですと言われ、首にカラーをつけてるんだ、見ればわかるだろう!と大声もあげた。

そりゃあ、それでは証明になりませんよ、、、。それが通れば怪我をしていない人だって首にカラーを巻いて同じことをしますから、、、

彼は健康を自負し医者にかかったことがなかった。だからどうしていいかわからなかったいうと言う。医療者による証明書が必要と言われ専門医に一筆書いてもらおうとしたが、なかなか書いてもらえない。

そりゃそうでしょう。診察のついでに書いてくれるかもしれないけど、それだけのために高い再診料を州に請求できませんよ。あ、証明書は個人負担になりますね。

そういうごちゃごちゃで5ヶ月も無収入。さぞ心配だったでしょう。あ、彼には妻もいます。怪我をした彼と違って妻は無傷なんで、もう少し常識的な行動に出れなかったのだろうか?と思ったけれど、、、。

あ、常識的な、、、なんて言っちゃいました。常識っていうのは自分の基準で国民全員が同じ常識を持っているとは限りません。知らない人は知らないし、困った時に常識的なアドバイスをしてくれる人がそばにいなければ、知らないままなのです。

コミュニティーのネットワーク、近所付き合い、親戚付き合い、友達の輪って本当に大事なものなんだと感じました。






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