走るナースプラクティショナー ~診断も治療もできる資格を持ち診療所の他に診療移動車に乗って街を走り診療しています~

カナダ、BC州でメンタルヘルス、薬物依存、ホームレス、貧困層の方々を診療しています。登場人物は全て仮名です。

恨みます

2020年06月08日 | 仕事
頭部外傷から知的知能が低い彼。帯状疱疹がこめかみから耳辺りにできて、それが週末だったので私の診療所(週末は開いていない)ではなくて他の診療所に行きました。抗ウイルス剤と塗り薬で軽快。その診療所の医師に帯状疱疹のワクチンを受けておいた方が良いですよ、と言われたそうだ。

そして彼はそのワクチンの処方を私に依頼する。無料ではなく自費ですよ、と説明したけれど払うと言う。値段は$170。2回投与すると最も効果がある。そんな金はないと言う。だから美加から政府へ特別に待遇してもらえるように申請をして欲しい、と言う。それはできない。できないと言うより、その申請をしても許可は絶対出ないと知っているから。

しかし彼はそれが理解できない。自分は特別だから他の人に許可が下りなくても自分には下りる、と繰り返す。

州がこのワクチンをカバーしない(州が費用を持つ)理由は、このワクチンの効果だ。帯状疱疹の発症を抑えるワクチンではない。発症した時に症状が出る期間が数日短くなる。これが治験の結果だが宣伝では視聴者が発症しないと誤解するような論調だ。テレビや雑誌で宣伝している(カナダでは処方薬の宣伝は禁止されているが、それが許可されているアメリカ電波のテレビの視聴や雑誌の購読ができるのがカナダ。よってカナダ人もその宣伝を見るのだ)。

他の患者に聞かれた時はその治験について話をして、だから州はカバーしないので自費のワクチンです、と伝える。皆これでわかってくれるが彼はそうはいかない。小学生でもわかるように言葉を変えて説明した。その理由はわかってくれたが、ならばなぜ先の診療所の医師は自分に勧めた?と言う。そして美加が間違っている、となる。

患者の懐も知らずに一遍通りに薬を勧めた、この医師を恨みたくなる。だってそれ以来彼は繰り返し電話、Eメールで同じ事を要求するからだ。3度ぐらいは説明を繰り返した。4度目から無視を決めた。だってどんなに時間をかけても同じ結果にしか辿りつかないからだ。薬剤師にも頼んだ。私以外の人物から同じメッセージを聞けば理解できるかもと。ああああああ、ホントこの医師を恨むのだった。

冒頭写真:庭に暖炉兼ピザ窯の完成。旦那の手作りです(キットとかではなくデザインから全て)


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