走るナースプラクティショナー ~診断も治療もできる資格を持ち診療所の他に診療移動車に乗って街を走り診療しています~

カナダ、BC州でメンタルヘルス、薬物依存、ホームレス、貧困層の方々を診療しています。登場人物は全て仮名です。

医療と政治

2020年06月02日 | 仕事
昨日の続き

ケベック州とオンタリオ州の長期療養型の悲惨な状況が明らかになり、BC州の毎日の記者会見でも質問が出てきました。

BC州はどうなのか?

厚生省のトップが自信を持って言います。2017年の政権交代以来、長期療養型施設への予算増加と環境改善は公約で、3年間力を注いだのでBC州は大丈夫です、と。

政治と医療は切ってもきれない関係性があります。医療費は医療の運営に重要で、その医療費を左右するのは政治家だからです。与党と野党。与党に選ばれる政党の医療に対する政策が医療に大きく影響を与えます。例えばBC州では90年代後半に看護学校の大幅削減が行われました。予算の削減です。看護師は十分いる、が理由だったかな(記事が見つけられなかった)。それとベイビーブーマーの退職期と重なりBC州の看護師不足が始まりました。前政権(と言うかBC州で長く与党を握る) はケベック州やオンタリオ州と同じくビジネス主義。ビジネスに優遇を図る事でお金が回る事を目指します。よって労働層や弱者には厳しい税率と政府からの優遇が削られる図式となるのです。

今の政権はその逆。弱者優先です。政権交代以来、医療の中でも弱い部分、つまり老人、メンタルヘルスの強化を図ってきました。医療以外では生活保護費も何十年変わらなかったものを政権交代後に支払額を増量しました。

人口のサイズからしてもBC州は今回のクライシスを見事にやり込めていると思います。ボニー博士を始める優秀な公衆衛生チームの尽力もさながら、現政権のおかげではないだろうか、と思います。前政権ではケベック州、オンタリオ州と同じ運命だったと思います(いくら医療チームが優秀でもビジネスによる利益を優先する政治は医療チームの助言を聞き入れなかったと思う。アメリカが良い例です)。

続く


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