走るナースプラクティショナー ~診断も治療もできる資格を持ち診療所の他に診療移動車に乗って街を走り診療しています~

カナダ、BC州でメンタルヘルス、薬物依存、ホームレス、貧困層の方々を診療しています。登場人物は全て仮名です。

国公立病院の再編成- 在宅医療

2019年11月06日 | 仕事
シリーズ5日目

日本はすっかり急性期病院型の医療に傾いたわけですが、それを取り上げるだけではなく他の形の医療を補填する必要があります。それを最近政府が勧めてきたのが在宅医療。他の言い方では訪問医療と言うのでしょうか?しかしこれまたおかしな話でなんだか病院の延長線上にある匂いがムンムンです。例えば胃カメラや超音波を積極的に在宅で使用したり、中心静脈脈栄養が施行されたり、全くの驚きです。在宅で病院で行っている事をそのまま行うメリットとは何なのでしょうか?それに胃カメラや在宅での中心静脈栄養療法など、安全性が疑われます。24時間医療者の観察下ではないし、もしもの時に利用する医療機器が揃っていないので、安全対策は必須です。在宅の手技中に穿孔したらどうするのでしょうか?滅多に起こらない事ですが可能性はゼロではありません。

先程メリットは何なのか?と書きました。きっと患者が家にいるままで胃カメラをしてもらえるのは患者にとって便利で安楽につながると言う人もいるでしょう。

しかし私が患者ならこの場合、安楽より安全をとります。自宅での手技中に間違いが起こり死ぬよりも日帰りでもしっかり医療機器の揃っている病院で手技を受ける事を選びます。もし何かあった時の為に。医療において安全性は安楽や利便性より重要視される要素です。それに経管栄養のチューブの先端確認ならば搬送が必要でもレントゲン確認の方がずっと浸潤性が低いと思いますが、、、

カナダでも在宅で医療機器を使うことがありますが、それは在宅用に作られたもので、使用にあったて看護師の手技や家族への指導法やチェックリストも含んだガイドラインがあり、トラブル時のバックアップなどが作られています。そう言うガイドラインは統一され、最新のエビデンスも組み込まれ、安全性第1で出来ています(CNSがこれらのものを作成と教育する)。安全性というのは機器の安全性だけではなく全てを含んで安全と言えるものです。

以前にも書きましたが、政府は在宅医療への舵取り目的のためか医師の訪問が月に2回必要、など理解できない条件もつけています。病気中の病気の人は病院にいるので、在宅にいる人は病状が安定している人たち(介護度と間違えないように)。そんな人に月に2度の医師の訪問が必要って何故なんでしょうか?こう言う時に看護師や他の医療職をしっかり使う方がそろばんに優しいのではないでしょうか?それともまだまだ日本の医療界は医師によるモノポリー状態で医師に在宅の魅力をわかってもらえるように診療報酬をあげ、餌をチラつかせている状態なのでしょうか?

おっと感情的になってしまった。

もう一つ気になることが。私も訪問看護師として働いていました。訪問と言うのは1人もしくは数人で患者の家、つまり相手側の陣地に行くわけですから、医療者の安全も確保されなければなりません。労働基準法や職場の基準でその安全性が保証されるプロトコールも沢山ありました。この辺りのことはどうなっているのでしょうか?病院で看護と介護の境界線が曖昧ですが在宅では明確なのでしょうか?それらは診療報酬に明確に反映されているのでしょうか?訪問事業所間でケアの開きはないのでしょうか?非常に気になるところです。心配し過ぎなだけでありますように、、、、

在宅医療はこれからの要の一つになると思います。効果的で効率的な医療機関となりますように。

続く



建築の勉強をした誰かさんはローマの遺跡に興奮中で写真を撮る手が止まりません。もうすぐ日が暮れますよー

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