棘をなくす技

私の患者は社会の底辺とでも言うべきか、精神科系疾患や薬物依存のため社会でうまく振る舞えない人が多い。クズのように扱われ、人を信じる事ができなくなり、トゲトゲしくなっている人が多い。

初診の彼もそうだった。ハリネズミかそれともアニメに出てくる怪物のような長くて硬い棘が全身から生えていると思えるぐらいな態度、声のトーン、返答の仕方だった。

それがだんだん溶けていく、いや棘が短くなり消えていく。下ばかり見ていたのがチラッチラっと私の方を見るようになり、すこーし笑顔を見せるようになる。

初診の問診を終え、私の患者になる？と聞くと、よろしく！と照れくさそうに言う。

よっしゃ！第1関門突破と心の中でガッツポーズをする自分。

難しいと言われる患者と繋がりこの患者層の健康指標を上げていく。それが私の使命です。



雨と風であちこち桜吹雪。若葉の季節がやってきます。