先日発表になった精神科系疾患のある方のMAiD開始の延期。MAiDは医療者が補助をして死を招くこと。自殺幇助とか安楽死と日本では受け止められているもの。過去にも書いてきているのでMAiDを検索欄の入れて読んでみてください。
MAiDは回復が不可能な疾病を罹患している方のみが対象です。規約は厳しいのですがカナダのMAiDの件数は鰻登り。2016年から始まり、第二段階として精神科系疾患患者が2024年3月から始まる予定だった。それが少なくとも2027年まで延期となったのだ。
開始を待ち望んでいた患者はメディアの前でその苦悩を述べていた。どんな治療をしても鬱病の回復はなく自殺を図ったこともある方達だった。
何が問題なのでしょう?
MAiDはその規約通りに行い、どんな角度から見ても正当性がなければ殺人となります。医療の技術で人間を死亡させるわけですから。
MAiD の大前提で最も大事なことは今ある医療資源の全てを投入しても回復しない疾病が条件なので、緩和ケアが充実しアクセスがあることが条件。精神科系疾患をMAiDに加えるということは精神科系疾患医療への充実とアクセスも条件となる。
カナダの医療は州ごとに行われているが、MAiDに関しては足並みが揃い、一斉に始められることが条件。今回の延期はそこがポイントだったようだ。州によって条件の揃う医療状況が異なり、今開始をすればアクセスがない場所のままでMAiDを開始する危険な州が出てしまうこと。ここを司法界から指摘されのが今回の決断だったらしい。だから3年をかけて足並みを揃えさせる期間を設けたのだ。
新しい医療の形。進行には十分な時間をかけて、、、メディアに出ていた方々の苦悩は感じ取れる。しかし安全な医療を作っていくために、待って欲しいと願いたい。安全なMAiDを後世に残していくために。
冒頭写真: 映画やCMに使われる急勾配のヘアピンカーブの始まり。