走るナースプラクティショナー ~診断も治療もできる資格を持ち診療所の他に診療移動車に乗って街を走り診療しています~

カナダ、BC州でメンタルヘルス、薬物依存、ホームレス、貧困層の方々を診療しています。登場人物は全て仮名です。

探し人

2016年10月09日 | 仕事
昨日の続き

雨の中探していたのは新顔の女性。この3週ぐらい地元をウロウロしている。先週出会った時には明らかに幻覚に翻弄されていた。しかし強制入院の鍵となる、自分や他に危害を与えるサインもなく、交通ルールもきちんと守っている。警察も呼んだが、彼女は警官も全く無視。アウトリーチのデニーと3人でこれじゃあ見守るしかないね、と話したのが先週。

先週彼女はだぶだぶの服を着て帽子を深々とかぶりその上に毛皮の耳かぶりがある帽子をかぶっていた。小ぶりの20代後半ぐらいの女性だった。ホームレスの人達によると死んだアライグマを自分の子猫だと言って1週間抱えて歩いていたとか。先週は生きた猫を抱えていた。

そして今週。ブッシュキャンプを何軒も回った。見つからなかった。街から去ったのか?と思った。最後のキャンプ地で男性のホームレスが彼女の事について私たちに話があると引き留めた。幻覚に悩まされていること。何も身の上のことは話さないとか。彼と立ち話をしている時これまた新顔の女性が私たちの横を通過していった。話中だったので彼に失礼だと思い新顔の女性に気を留めなかった。

長〜い話の後、最後に彼女を見かけたのはいつですか?と聞くと

???さっきまで一緒だったよ。

え?今さっきここを通っていった女性ですか?と聞くとそうだよ、と、、、、

だあああ!なんてこったい!探し求めていた人は目と鼻の先だったのだ。

そう、彼女は変装をするのだ。カツラをかぶり服装もガラッと変えると他のホームレスが言っていた。愕然。

しかし先週のように恐怖に怯えた叫び声はないし、目線もしっかりしていた。少し落ち着いてきたのかもしれない。あーあ、また魚に逃げられた。



キャンプの周りにはゴミも散乱。テントが使い物にならなくなると、そのまま放置してしまう。この行き当たりバッタリの生き方も市民に嫌われる理由ですね。

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