走るナースプラクティショナー ~診断も治療もできる資格を持ち診療所の他に診療移動車に乗って街を走り診療しています~

カナダ、BC州でメンタルヘルス、薬物依存、ホームレス、貧困層の方々を診療しています。登場人物は全て仮名です。

精神病と社会の偏見

2016年05月28日 | 仕事
昨日の続き

WHO の統計によるとメンタルヘルスの病気にかかる人は 4人に1人と言われています。

驚く数字だと思いませんか?

メンタルヘルスにつきまとう事。それはスティグマ。他の病気と違い他から病気の事を隠したがる傾向があります。家族に、会社に、友達に知られたくないと思う人がほとんどです。日本の場合法的に離婚できる理由の一つに精神病があるほどですから (回復の見込みのない強度の精神病と限定はされていますが)、病気にかかったばかりに受ける社会からの制約や差別は計り知れません。

診断を恐れる事は、診察や治療を遅らせます。無理をして仕事や家事をしていると何処かにそのしわ寄せが出てきます。自殺、他殺、心中、虐待、薬物依存。

社会を避けるケースも多い。学校や会社に来なくなった。近所で見かけなくなった。そんなうちに忘れ去られるのでしょうか?

先日のケースものような夫に逃げられた5人の子持ちのシングルマザーががんと診断されたら、親戚も、友人も、子供のクラスの親御さんだって協力して何か手助けしようとなるもの。カナダだったら募金活動だって起こりかねません。しかしそれはメンタルヘルスには起こらない。悲しい事実です。

こういう世の中がある限り、メンタルヘルスを持つ人達が社会から孤立し、結果のみが社会のスポットライトを受けている現状。そしてその情報がもっとスティグマを悪化させているという状態。

メンタルヘルスだって治療すれば回復して社会で生きていける病気なのです。メンタルヘルスに対する偏見をなくし他の病気と同じだと認識する事。私たち一般人ができる第一歩だと思っています。



補足
最近はゼレブの方も自分の病気を公表し隠れる事はないと訴えています。
カナダ人のクララ ヒューは夏冬オリンピックで何度もメダルを獲得した花形選手 (スピードスケートと競輪)。選手時代から鬱に苦しんでいた。現役引退後はレッツ トークと言うメンタルヘルスのスティグマをなくすキャンペーンを続けている。カタリーナ ゼッタ ジョーンズやメル ギブソンは双極性障害、他にも鬱や拒食症、薬物依存を公表したセレブは多い。








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2 コメント

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こんにちは (のびた)
2016-05-29 17:05:27
鬱病は精神障害の一歩前 ここのブログの中でも何名か見かけます
自傷行為を繰り返したり 精神的に躁鬱になったり 凶暴になります
救いを求めていることが伝わりますが 対応が難しいです
薬で抑えているものの 副作用もあって苦しそうですね
認知症の方は 私が行く施設で良く見かけますが アルツハイマー型では無いけれど やはり 自傷行為に及ぶ人
凶暴型 もう人間としての尊厳が無いただ叫び声をあげる人 昔ならひっくるめて精神病で閉じ込めてしまいました
音楽で少しでも 笑顔を呼び起こしたいと それだけが願いで 永く通い続けています
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のびたさんへ (美加)
2016-05-31 11:06:46
老人施設で音楽を奏でるのびたさんの活動は素晴らしいです。きっと深い深い心の底に届いていると信じています。返答が私たちのようにできないだけだと。
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