走るナースプラクティショナー ~診断も治療もできる資格を持ち診療所の他に診療移動車に乗って街を走り診療しています~

カナダ、BC州でメンタルヘルス、薬物依存、ホームレス、貧困層の方々を診療しています。登場人物は全て仮名です。

特別すぎる

2022年09月23日 | 仕事
わかっているのよ。少しでもストレスがかかると数本しか繋がっていない糸が切れてしまうことを。

調子が良い時でも、コミュニケーションスキルが乏しい彼。脳の障害のためです。声が出ないとか、そんなことではなくて、点と点が繋がらない。話題が次から次へと変わっていく。本人は気づいていない。だから何故わかってきれないのか、と本人はイライラする。そうなればなるほど早口になり、思考回路はこんがらがって行く。わかってもらえないからしゃべる声も大きくなって行く。そして本人は妄想癖があることを知らない。だから否定されると怒りが現れてくる。

彼の妄想は症状。しっかり診察をしても(問診を取るのだってかなりの技術がいる)、納得せずに救急を渡り歩く。今回もそのパターン。あまりの頻回の救急室利用に精神科医の紹介が行われた。しかし治療もサポートも入院も全て断った彼。そしてまた私のところへ来る。

予約の時間にこず、しかし診察を望み、時間をこじ開けて診察室へ呼ぶと、前回と全く同じことを言う。精神科医の診察結果に私も同意をすると言う、と「信じられん!もう、いい!!!他の医者に診てもらう」と病室を出て行きました。

これで出ていったと思いきや、一歩診察室を出ると自分は精神科の病気はない!と弁明が大声で始まります。ここは診療所です。大きな声はやめてください、と言っても聞きません。ならば即刻出て行くように伝えると、火に油を注ぐように悪化します。なんとか待合室まで後退できたけれど、待合室の患者も気にせず弁明は続きます。ならば奥の手を使わなければなりません。

去らないのなら警察を呼びますよ。

それでも止まりません。スタッフに伝えて警察を呼ぶように伝えます。そうするとようやく出て行きました。

せめて時間通りに来院して欲しい。貴方は特別すぎる、、、、。

冒頭写真: 茹蛸のような足を清水につける。この後ドボンと全身を清水へ。心臓が止まるかと思うほどの水温が気持ちいい。



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