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原作をかなり面白く読んだ記憶と、監督、出演者で観たかった作品。
東京は渋谷と新宿だけで出来ているわけではない。
はずれの街『まほろ』は地方から見たら
「うちとあんまりかわらないじゃん!」程度のマチと
(デパートに買い物に行くのは「マチに出る」)
猥雑な飲み屋辺りには”まほろ銀座”か”親不孝通り”が多分あり
あとは皆がバスで帰っていくフツーの住宅地しかない。
そんなまほろの駅前で便利屋を開いてる多田。
仕事は1時間2000円。
熱意は無いが仕事は確実。
ある日、とんだ偶然でワケありの昔の同級生、
行天を拾ってしまい
住み着かれてしまう。
多田のクールさと全く異質のクールさをもつ行天。
互いが抱えている欠落には気づかず
客の依頼をこなすうちに関係が変化し
磨かれて、その底から現れる、ざらり、とした違和感。
何で便利屋なのに、依頼人の何かを少しだけ解決しちゃうかな。
本職じゃないからへっぽこじゃん。
そこが大変魅力的ですがね、うふふ。
行天の振るう暴力が
唐突で、型もなく、いきなり急所を狙うので
少しの場面しかないのに強烈。
多田の事務所と娼婦のアパートがリアルで面白い。
全く違うベクトルなのに、人がそこで生きている感じがする。
「チワワがすごく震えてるんです」本気で心配する多田。
知らないとどんなことも異変と思ってしまうのか。
「小さいのに、一生懸命生きてるからだって」
元の飼い主の小学生の言葉。
『誰かに必要とされるってことは、誰かの希望になるってことでしょ?』
行天が幼児のような無防備な表情で多田に投げかけた言葉。
胸をぎゅうっとつかまれた。
(これはきちんと転記しました。大事だから)
エイタも龍平もなんだかしょぼいし
事件解決のカタルシスもなく
スタイリッシュな映像でもないけれど、
なんだか好きな作品。
大森南朋さんのお弁当やさんが巷の人すぎてかわいい。
麻呂お父さんは、どうやっても、ちと怖い。
お兄ちゃん監督。
すげーな、なんだか。