行雲流水

仏教をテーマとした記事を掲載しています。

自然をたたえ 生命をいつくしむ日

2012年03月20日 | 禅の心
「自然をたたえ 生物をいつくしむ日」
 今日、3月20日は春分の日です。春分の日は、近年ですと通常は3月21日で、閏年には3月20日になることが多かったのですが、これからは3月20日が通常で、閏年には3月19日になる場合が出てまいります。春分の日は「自然をたたえ 生命をいつくしむ」日として国民の祝日に関する法律にはうたわれています。
今年の場合、3月20日を中心として、7日間が「春のお彼岸」になります。お彼岸は、完成した人間に近づくための努力週間と言ってもいいでしょう。今、完成した人間と申し上げましたが、あくまでも、完成した人間に近づくのであって、完成した人間にはなれません。完成した人格をもっているのは仏様だけなのです。そして、完成した人間に近づくために努力をしているのが菩薩様なのです。「永遠なるものを求めて永遠に努力する人を菩薩という」 とは、高田好胤先生の言葉です。彼岸は悟りの世界です。その悟りの世界である彼岸に渉るために努力しているのが菩薩様です。彼岸は対岸の世界なので、彼岸に渉ると、今度はもといた岸が彼岸になります。やはり元板世界が恋しくなるのです。悟りを開いても、再び元の世界に戻ってくる。悟りを開いたからと言って、悟りの世界にとどまっているのではなく、再び娑婆世界に戻って、衆生を救ってあげるのが菩薩様なのです。山に登っても、山から下りてこなければ死んでしまいます。登山は、山に登って、下山して家に帰るまでが登山なのです。国内旅行でも、海外旅行でも、最終目的地は我が家です。帰る家があるから登山も楽しいし、旅行も楽しいのです。帰る家がなかったら、登山も旅行も楽しくなんかありません。大乗仏教は、仏様になるのではなく菩薩様になる宗教なのです。
 彼岸に渉るためには、何か目印になるもの、努力目標になるものが必要です。彼岸とは、サンスクリュット語で「パーラミータ」と言います。中国では「波羅蜜多」と訳しました。そしてその努力目標を六波羅蜜と言って、6つの実践項目として挙げられています。
布施波羅蜜
持戒波羅蜜
忍辱波羅蜜
精進波羅蜜
禅定波羅蜜
智慧波羅蜜
の6つです。
菩薩行は、目立たぬようにさりげなく行います。人間性を高めていこうと努力している人はみな菩薩様なのです。お彼岸は菩薩様週間なのです。


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