【ケトン食の効果】私の糖尿病の方はコントロールできているようだ。定法通りに「中間尿」をガラスコップに受け、尿糖検出のテステープで色の変化を見ているが、1分経ってもまったく発色しない。
昨年の秋から始めたケトン食だが、食用油を不飽和脂肪酸の多いオリーブ油、エゴマ油、アマニ油に変えた。日本産カタクチイワシのアンチョビは、タレは捨て缶詰の身だけを食っている。酒は赤ワインか安物の「35%果実酒用焼酎」70mlを4倍に希釈して、ポッカレモンを入れてチンして飲んでいる。
参考までに私の「ケトン食」の写真をお示しする。(写真)
(ケトン食)
左の皿が昼食分で、液状ヨーグルトは便通を促進するために食べる。右の皿が夕食分で、右奧にカシューナッツとクルミの袋がある。ガラスコップにはポッカレモン入りの焼酎が300ml、ガラスビンはオリーブ油2種(ボスコとスペイン産)とエゴマ油。水差しにあるのはノーカフェインのお茶で服薬に用いる。調味料として「味付け塩胡椒」をふりかけ、その上にオリーブ油(またはエゴマ油)を少量かける。
オリーブ油を掛けすぎると油溜まりができるので、皿の一箇所に集めて、そこにナッツを浸して食べる。平皿は洗いやすいので、後片付けは自分でする。まあ禅僧のまねだ。
おつまみのナッツはよく食べる。成分組成表を見て、タンパク質と脂質の多いカシューナッツ、クルミを主に食べている。脂質のカロリーは7Kcal/gmだから総カロリー数は多い。たぶん2000Kcal/日はあるだろう。アルコールは肝臓で酢酸に分解され、脂肪はケトン体と脂肪酸に分解され、タンパク質はアミノ酸に分解され、それぞれミトコンドリアでエネルギー(ATP)に変わる。ミトコンドリアは有酸素分解しかしない(酸化的燐酸化サイクル)。グルコースはわずかに野菜類からえられるので、微量である。
従来の栄養学の常識を覆してもちゃんと生きて、知的活動がむしろ盛んになるから不思議だ。
私はアルコールを分解して毒物アセトアルデヒド(二日酔いの原因物質)を作るアルコール脱水素酵素(ADH)だけでなく、アセトアルデヒドを分解して酢酸に変えるアセトアルデヒド脱水素酵素(ALDH)のアイソザイム(同じ機能をもつ酵素だが、遺伝子のタイプが違う)が他人より違っているらしく、飲んでもすぐ醒めるし、二日酔いにもならない。
(いま書評用に梶原哲郎(監修)「美しい人体図鑑」(笠倉出版)という本を読んでいる。肉眼解剖・組織学・生理学・生化学・病気(病理学)が、総合的に説明されており、図が多用してあり、分かりやすくてよい本だ。)
http://www.frob.co.jp/kaitaishinsho/book_review.php?id=1492473705
この本の「神経細胞のしくみ」という項を読んでいたら、「肝臓の処理能力を超えたアルコールは分解されないまま血中に入る」とあった。そのとおりだ。ついで「脳の血管に達したアルコールは血液脳関門をフリーパスし、ニューロンに達してその細胞膜(脂質で出来ている)を溶かす。これが酔いだ」と書いてあり、目からウロコの思いがした。
深酒した翌日、酔った時のことを全く憶えていない人がいる。あれは酒毒(エチルアルコール)により脳の神経回路が一時的に乱れて、記憶が「短期記憶」として残らなかったのだと納得がいった。
糖質制限食とちがい、ケトン食にはどういう効果があるか。これが実験の目的だった。1万5000年前に農耕が始まるまで、人類はケトン食で生きてきた。
現生人類の脳が、必要エネルギーの80%をケトン体から、たった20%をグルコースから得ているというのは、その名残だ。
で、その効果だが、一日二食(昼と夜)なのに空腹感がないことは前に報告した。その他の効果について述べる。
まず第一:視覚と聴覚が非常に鋭敏になった。眼鏡もいらないし、仕事場の排気ファンやオイルヒーターのファンの音をうるさくてかなわない、と感じるようになった。
この視覚と聴覚の鋭敏さは、「野蛮人」にとって生存に不可欠な能力である。
暗順応も早くなった。暗闇でも眼が利くようになった。この仕組みも、まだ私には理屈がわからない。
ついで第二:皮膚の傷の治りが早くなった。
皮膚科医夏井睦さんの「傷はぜったい消毒するな:生態系としての皮膚の科学」(光文社新書)を読んで以来、傷はすぐ水道水で洗い、バンドエイドで塞ぐだけにしている。
糖尿病があると血糖値が高いため、傷の治りが遅れたり、感染が起こったりということがあるが、それがない。理屈はわからないが、これもケトン体の作用だと思われる。
ついで第三:これが私にとって最大の収穫なのだが、「肩の力」を抜くことができるようになった。昼間これをやると、歩いていてバランスを崩すことがないし、母屋にものを取りに帰って「ど忘れ」することがない。要するに気が散らないのである。
最後に第四:生活のリズムが自然の体内時計に合ってきた。
ひどい不眠症のため、長年入眠剤マイスリー2錠とベンゾジアゼピン系の睡眠持続剤ベンザリン2錠を寝る前に服用してきたが、服用量を減らし、いまはマイスリー1錠とベンザリン1錠になった。これで朝まで一度もトイレに起きず、ぐっすりと眠れる。
この現象も理屈はまだわからないが、寝床に入ると肩の力を抜き、できるだけリラックスするのが入眠作用を助けているようだ。
もちろん暗くして、両瞼を閉じると、例の「入眠時幻覚」が見える。するとすぐに眠ってしまう。睡眠時間は5〜6時間で足りるようだ。よって毎朝、仕事場の窓から日の出を見ることができる。
害作用は認めていない。医者代(薬代を含む)とケトン食の費用を比べると、ケトン食の方がはるかに安上がりだ。つまりエンゲル係数は上がるが、医療費と通院の時間は減少するというわけだ。興味をお持ちの方には以下の2書をお薦めする。
★宗田哲男「ケトン体が人類を救う:糖質制限でなぜ健康になるのか」(光文社新書)
★古川健司「ケトン食ががんを消す」(光文社新書)
「徒然草」に「良き友に三つあり。一つには物くれる友。二つには医師(くすし)。三つには智恵ある友。」(第百十七段)とある。だがまだケトン食を理解してくれる医師は少ないだろうな。
「少にして学べば、すなわち壮にして成すことあり。
壮にして学べば、すなわち老いて衰えず。」とは、
佐藤一斎「言志四録(三.言志晩録)」(講談社学術文庫、4冊本の三、p.80)にある言葉だが、年とっても脳梗塞などにならないかぎり、脳にはニューロンの幹細胞があるので、感動をもって学んだことはしっかり記憶される。伊能忠敬は50歳を過ぎてから地理学・測量学を勉強し、日本の沿岸部を歩いて測量し日本全図「日本沿海與地図」を完成させた。
学ぶに「遅い」とされるものは滅多にない。
液状ヨーグルトを食べた後、およそ2時間すると便意を感じる。トイレに行くと、普通の便柱にならず、軟らかくウィンナソーセージみたいな緩やかにつながった便がでる。これでは痔になりようがない。
この便は直腸にあったものではなく、長さから推測するとS状結腸と下行結腸の下部にあったものだと思われる。つまり液状ヨーグルトは結腸のペリスタルシス(蠕動=ぜんどう)を促進する作用があるのだと思う。
〔付記〕4/21「中国・セレクト」に<脳を休める瞑想の科学:マインドフルネス>という記事が載った。執筆は「共同=山下憲一」とある。アメリカのビジネス界で禅の影響を受けた「マインドフルネス」という脳の休息法が流行していること、日本では精神科医の久賀谷亮「最高の休息法」(ダイヤモンド社)などが出版されているという。
記事を読んで、「なんだ。これはケトン食をして、呼吸を腹式呼吸にすれば簡単にできる」と思った。禅の瞑想の時は座って腹式呼吸をしているはずだ。(本は後日読むつもり。)
「石庭」で有名な京都右京区の龍安寺で、座禅のまねごとをしたことがある。たちまち棒(撥?)で肩を叩かれた。理由がやっとわかった。
腹で息をして横隔膜を上下させるのが腹式呼吸だ。それに胸部呼吸を重ねれば、肺活量は大きくなり、酸素摂取量が増える。胸式呼吸では肩が上下するが、腹式呼吸ではしない。よって肩の力を抜くことができる。これが心の休息のポイントだ。
座禅をしていて胸式呼吸をすると肩が上下する。導師はそれを見つけると肩を叩くのだ。腹式呼吸をしていると、肩が動かない。それが瞑想に入る前提なのだ。
脳がケトン体エンジンで動くと、心身にどういう変化が生じるか、理論的に説明できるな、と思った。
「記事転載は事前にご連絡いただきますようお願いいたします」
昨年の秋から始めたケトン食だが、食用油を不飽和脂肪酸の多いオリーブ油、エゴマ油、アマニ油に変えた。日本産カタクチイワシのアンチョビは、タレは捨て缶詰の身だけを食っている。酒は赤ワインか安物の「35%果実酒用焼酎」70mlを4倍に希釈して、ポッカレモンを入れてチンして飲んでいる。
参考までに私の「ケトン食」の写真をお示しする。(写真)
(ケトン食)
左の皿が昼食分で、液状ヨーグルトは便通を促進するために食べる。右の皿が夕食分で、右奧にカシューナッツとクルミの袋がある。ガラスコップにはポッカレモン入りの焼酎が300ml、ガラスビンはオリーブ油2種(ボスコとスペイン産)とエゴマ油。水差しにあるのはノーカフェインのお茶で服薬に用いる。調味料として「味付け塩胡椒」をふりかけ、その上にオリーブ油(またはエゴマ油)を少量かける。
オリーブ油を掛けすぎると油溜まりができるので、皿の一箇所に集めて、そこにナッツを浸して食べる。平皿は洗いやすいので、後片付けは自分でする。まあ禅僧のまねだ。
おつまみのナッツはよく食べる。成分組成表を見て、タンパク質と脂質の多いカシューナッツ、クルミを主に食べている。脂質のカロリーは7Kcal/gmだから総カロリー数は多い。たぶん2000Kcal/日はあるだろう。アルコールは肝臓で酢酸に分解され、脂肪はケトン体と脂肪酸に分解され、タンパク質はアミノ酸に分解され、それぞれミトコンドリアでエネルギー(ATP)に変わる。ミトコンドリアは有酸素分解しかしない(酸化的燐酸化サイクル)。グルコースはわずかに野菜類からえられるので、微量である。
従来の栄養学の常識を覆してもちゃんと生きて、知的活動がむしろ盛んになるから不思議だ。
私はアルコールを分解して毒物アセトアルデヒド(二日酔いの原因物質)を作るアルコール脱水素酵素(ADH)だけでなく、アセトアルデヒドを分解して酢酸に変えるアセトアルデヒド脱水素酵素(ALDH)のアイソザイム(同じ機能をもつ酵素だが、遺伝子のタイプが違う)が他人より違っているらしく、飲んでもすぐ醒めるし、二日酔いにもならない。
(いま書評用に梶原哲郎(監修)「美しい人体図鑑」(笠倉出版)という本を読んでいる。肉眼解剖・組織学・生理学・生化学・病気(病理学)が、総合的に説明されており、図が多用してあり、分かりやすくてよい本だ。)
http://www.frob.co.jp/kaitaishinsho/book_review.php?id=1492473705
この本の「神経細胞のしくみ」という項を読んでいたら、「肝臓の処理能力を超えたアルコールは分解されないまま血中に入る」とあった。そのとおりだ。ついで「脳の血管に達したアルコールは血液脳関門をフリーパスし、ニューロンに達してその細胞膜(脂質で出来ている)を溶かす。これが酔いだ」と書いてあり、目からウロコの思いがした。
深酒した翌日、酔った時のことを全く憶えていない人がいる。あれは酒毒(エチルアルコール)により脳の神経回路が一時的に乱れて、記憶が「短期記憶」として残らなかったのだと納得がいった。
糖質制限食とちがい、ケトン食にはどういう効果があるか。これが実験の目的だった。1万5000年前に農耕が始まるまで、人類はケトン食で生きてきた。
現生人類の脳が、必要エネルギーの80%をケトン体から、たった20%をグルコースから得ているというのは、その名残だ。
で、その効果だが、一日二食(昼と夜)なのに空腹感がないことは前に報告した。その他の効果について述べる。
まず第一:視覚と聴覚が非常に鋭敏になった。眼鏡もいらないし、仕事場の排気ファンやオイルヒーターのファンの音をうるさくてかなわない、と感じるようになった。
この視覚と聴覚の鋭敏さは、「野蛮人」にとって生存に不可欠な能力である。
暗順応も早くなった。暗闇でも眼が利くようになった。この仕組みも、まだ私には理屈がわからない。
ついで第二:皮膚の傷の治りが早くなった。
皮膚科医夏井睦さんの「傷はぜったい消毒するな:生態系としての皮膚の科学」(光文社新書)を読んで以来、傷はすぐ水道水で洗い、バンドエイドで塞ぐだけにしている。
糖尿病があると血糖値が高いため、傷の治りが遅れたり、感染が起こったりということがあるが、それがない。理屈はわからないが、これもケトン体の作用だと思われる。
ついで第三:これが私にとって最大の収穫なのだが、「肩の力」を抜くことができるようになった。昼間これをやると、歩いていてバランスを崩すことがないし、母屋にものを取りに帰って「ど忘れ」することがない。要するに気が散らないのである。
最後に第四:生活のリズムが自然の体内時計に合ってきた。
ひどい不眠症のため、長年入眠剤マイスリー2錠とベンゾジアゼピン系の睡眠持続剤ベンザリン2錠を寝る前に服用してきたが、服用量を減らし、いまはマイスリー1錠とベンザリン1錠になった。これで朝まで一度もトイレに起きず、ぐっすりと眠れる。
この現象も理屈はまだわからないが、寝床に入ると肩の力を抜き、できるだけリラックスするのが入眠作用を助けているようだ。
もちろん暗くして、両瞼を閉じると、例の「入眠時幻覚」が見える。するとすぐに眠ってしまう。睡眠時間は5〜6時間で足りるようだ。よって毎朝、仕事場の窓から日の出を見ることができる。
害作用は認めていない。医者代(薬代を含む)とケトン食の費用を比べると、ケトン食の方がはるかに安上がりだ。つまりエンゲル係数は上がるが、医療費と通院の時間は減少するというわけだ。興味をお持ちの方には以下の2書をお薦めする。
★宗田哲男「ケトン体が人類を救う:糖質制限でなぜ健康になるのか」(光文社新書)
★古川健司「ケトン食ががんを消す」(光文社新書)
「徒然草」に「良き友に三つあり。一つには物くれる友。二つには医師(くすし)。三つには智恵ある友。」(第百十七段)とある。だがまだケトン食を理解してくれる医師は少ないだろうな。
「少にして学べば、すなわち壮にして成すことあり。
壮にして学べば、すなわち老いて衰えず。」とは、
佐藤一斎「言志四録(三.言志晩録)」(講談社学術文庫、4冊本の三、p.80)にある言葉だが、年とっても脳梗塞などにならないかぎり、脳にはニューロンの幹細胞があるので、感動をもって学んだことはしっかり記憶される。伊能忠敬は50歳を過ぎてから地理学・測量学を勉強し、日本の沿岸部を歩いて測量し日本全図「日本沿海與地図」を完成させた。
学ぶに「遅い」とされるものは滅多にない。
液状ヨーグルトを食べた後、およそ2時間すると便意を感じる。トイレに行くと、普通の便柱にならず、軟らかくウィンナソーセージみたいな緩やかにつながった便がでる。これでは痔になりようがない。
この便は直腸にあったものではなく、長さから推測するとS状結腸と下行結腸の下部にあったものだと思われる。つまり液状ヨーグルトは結腸のペリスタルシス(蠕動=ぜんどう)を促進する作用があるのだと思う。
〔付記〕4/21「中国・セレクト」に<脳を休める瞑想の科学:マインドフルネス>という記事が載った。執筆は「共同=山下憲一」とある。アメリカのビジネス界で禅の影響を受けた「マインドフルネス」という脳の休息法が流行していること、日本では精神科医の久賀谷亮「最高の休息法」(ダイヤモンド社)などが出版されているという。
記事を読んで、「なんだ。これはケトン食をして、呼吸を腹式呼吸にすれば簡単にできる」と思った。禅の瞑想の時は座って腹式呼吸をしているはずだ。(本は後日読むつもり。)
「石庭」で有名な京都右京区の龍安寺で、座禅のまねごとをしたことがある。たちまち棒(撥?)で肩を叩かれた。理由がやっとわかった。
腹で息をして横隔膜を上下させるのが腹式呼吸だ。それに胸部呼吸を重ねれば、肺活量は大きくなり、酸素摂取量が増える。胸式呼吸では肩が上下するが、腹式呼吸ではしない。よって肩の力を抜くことができる。これが心の休息のポイントだ。
座禅をしていて胸式呼吸をすると肩が上下する。導師はそれを見つけると肩を叩くのだ。腹式呼吸をしていると、肩が動かない。それが瞑想に入る前提なのだ。
脳がケトン体エンジンで動くと、心身にどういう変化が生じるか、理論的に説明できるな、と思った。
「記事転載は事前にご連絡いただきますようお願いいたします」
これは中学生でも分かる間違い。もう一度生理学を勉強し直されればいかがか?
>ミトコンドリアは有酸素分解しかしない
これも間違ってます。
>脂質のカロリーは7Kcal/gm
ハーパーの生化学によると、脂肪の分解によって生み出されるエネルギーは、9.3 kcal/g。
>ニューロンに達してその細胞膜(脂質で出来ている)を溶かす。これが酔いだ
細胞膜が溶けたら細胞死んでますって。これで目から鱗って、本当に医師免許持ってらっしゃるのですか?
>日本全図「日本沿海與地図」
正確には『大日本沿海輿地全図』。実際は伊能忠敬は完成を待たずに没しているが、喪を秘して制作が続けられ、3年後に完成した。
グルコースは、ケチャップに多く含まれているよ。たしか、重量の2割ほどは糖質だ。
「知的活動がむしろ盛ん」という自己認識のようだが、ケトン食とやらを始められてから、メルマガに勘違いや思い違いが数多く見受けられるようになっているように感じている。本人がハッピーなら他人が口を出す問題ではないがね。