盗人宿

いまは、わかる方だけ、おいでいただければ。

思い込みと狭い視野

2013-06-16 13:21:46 | にゃんころ

以前NHKに、松平というアナウンサーがいました。

彼は常々、名前を(矢印は音の高低です)「ま↑つ→だ↓い↓ら↓」と読む事に、病的に固執しました。
社会的常識でいえば、「ま↓つ↑だ↑い↓ら↓」ですよね。
しかし彼は決してそれを認めませんでした。
「ま↑(以下略)」でない読み方をする者は共演者だろうがスタッフだろうが、時には視聴者さえ罵倒しました。
彼の在任中、NHKの番組ではすべて「ま↑」でした。

で、会津松平家、てのがありますよね。
保科正之から始まる家。
最後の藩主である松平容保は、男系の直系です。
そしていま、彼等の直系子孫は日本中におり、毎年集まって先祖の墓参りをします。

その集まった直系の子孫たちは、ことごとく「ま↓」と発音するのです。ごく当たり前に。
誰ひとりとして「ま↑」とは発音しない。
私たちの社会的常識と寸分違わぬ発音をする。

と、なると、
あのNHKの松平は、何だったのだろうか。

最後の藩主・容保は明治のまんなかくらいまでは生きましたから、もしかしたら呼ばれた音声データが現存しているのかもしない。
しかし「読みは、ま↑である」などという記録は、私の知る限り皆無です。
となると、導かれる結論は、ただひとつ。
あの松平は、家族や周囲がそう発音しているからそれが唯一絶対と思い込み、他人にも強要した。
たかがそれだけのことに、NHKという国営に近い企業が、振り回された。
たったひとりのわがままに、全国民が振り回されたのです。
実際、松平が退職してからNHKの歴史番組は、「ま↓」で発音・収録・放送されています。

インターネットてのは「声のでかい奴が正義」という、厄介な側面を抱えています。
だからこそ、私たちひとりひとりが、しっかり賢くなければいけません。

大声て「正しくは、ま↑です」とわめく奴がいたとしても、私たちは「ま↓」の社会的常識を、決して忘れてはいけないのです。
声のでかい者が必ず正義では、ないのです。


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