盗人宿

いまは、わかる方だけ、おいでいただければ。

握り飯

2019-01-23 10:49:34 | にゃんころ
植木屋とかけて 夜の営みが上手ととく
そのこころは 仕事が抜いたり差したり

というどうしようもない謎かけがございます。


ある植木屋が新婚で、夫婦共に大好きなものですから、朝といわず夜といわず盛んにやっております。
しかも昼の仕事休みにも家に飛んで帰って、

 「おっかぁ、やろう」

ってんですが、なんせ壁の薄い長屋のこと、昼日中にご近所に決まりが悪い。そこで符牒を決めておこうってんで、

 「おい、おっかぁ、めしにしよう」

てのを合図にして、やっておりました。

ある日、この植木屋が屋敷の木に登って仕事をしておりますと、それを知らない屋敷の女中と若い衆が、下の草むらで盛んに色事をやっていた。
それを見ていた植木屋も次第にカッカしてきまして、木の上でせんずりをかいてしまった。

いつものように昼休みに家に帰ってまいりましたが、亭主は用を足したばかりなのでやる気が起こらない。
体を持て余している女房が、

 「ちょいと、ちょいと、お前さん」
 「何だい」
 「どうしたんだい、きょうは。いつものめしは、どうしたの?」
 「ああ、きょうは、握り飯で済ましてきた……」

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