この日(2013年8月2日)は山に登ったわけではありません。
本業用事で秋田の北部、鹿角市のユーザーを訪ねた後、
国道341号線を走って秋田市に帰りましたが、その際、道路の近辺で見かけた野草を列記してみます。
真夏の低山に咲く花は少ないですが、この日は割と効率よく花を見ることが出来ました。
大場谷地湿原は標高960m、焼山火山の西に広がる湿原で、花の多いところです。
晩春はミズバショウやエゾノリュウキンカ、
初夏にはニッコウキスゲやコバイケイソウなどがみごとなのでよく来ますが、
真夏に来たことはほとんどありませんでした。
今回はオニシモツケが盛りでした。
地味ですが、他にはヤマトキソウ、クロバナロウゲも見つけました。
ヤマトキソウ
クロバナロウゲ
初夏に咲いた花の実
コバイケイソウの実
サンカヨウの実
(2017年以降は人食い熊出没により、この湿原への立ち入りは事実上不可能になりました。)
乳頭温泉の入り口に小さな湿原があります。
何か咲いてるような気がしたので、立ち寄ってみました。
行く途中、道路端で咲いていたのは・・・
ヤマユリ
オカトラノオ
マルバキンレイカ
例の小湿原は、標高600m。
ここではオニシモツケの花は終わっておりましたが、
かわりにミズギクやギボウシが咲いておりました。
ミズギク
コバギボウシ
この二種だけかなと思い、帰ろうとしたら、カキランが群生しておりました。
こんなに濃い群生を見たのはこの時が初めてでした。
カキラン
秋田市に向かう帰り道で最後に見た花はオオウバユリでした。
以上。
「雑草という草は無い。どんな草にだって、ちゃんと名前がついている。」
とは牧野富太郎博士が
若き日の(当時、雑誌記者だった)山本周五郎に語ったお言葉のようです。
また昭和天皇も同じようなことを申されておりますが、
私のような下賤な人間は、道路端や実家の放棄畑などに生えて来る草を見ると、
どうしても反射的に「雑草」と言ってしまいます。
ところが、6月1日、八塩山の帰り道で見た二種の植物は、
道路端に置くのは勿体ないと思うほど奇麗な雑草?でした。
最初はハルジオン。
これこそ憎たらしい~。
畑で見たら反射的に抜いてしまう帰化植物、雑草の代表取締役ですが、
この個体は花色が何故か濃いピンクで魅惑的でした。
この形質が保持されるならば園芸植物として使いたいくらいです。
ふたつ目はノアザミ。
これは割と最近、NHK朝ドラの「らんまん」にも出てましたね。
ドラマでは造花で不自然な感じは否めませんでしたが、
主人公・万太郎と竹雄の住む薄汚い長屋の近くに生えていました。
私が見たのは明るい野原、厳密には国道沿いの田んぼの畔に咲いていたものですが、
ハッとするほど鮮やかな紅紫でした。
一緒に咲いてる黄色い花は同じくキク科雑草のコウゾリナでしょう。どちらも触ると痛い草同士です。
以上。
お盆が近づくと、里山のあちこちでキツネノカミソリが咲き出す。
私の家(秋田市)の近くでは、墓地にも群生しており、
地面からにゅっと花だけ突き出して咲くので、ちょっと薄気味悪く感じることもあるが、
新鮮な花の群生に立ち会った時などはしばし立ち止まって眺めてしまう。
近縁種のヒガンバナは花が終わると、徐々に葉を伸ばすが、
キツネノカミソリは花が終わってもなかなか葉を出さない。
こちらは早春、雪が融けてから、一斉に葉を伸ばす。
名前は葉の形をカミソリに喩えたことは知っていたが、何故キツネなのだろうか。
語源由来辞典によると、
『キツネノカミソリは、花を「狐火」、葉を「日本剃刀」に見立てた名前。
昔、正体の分からない明かりは、キツネが口から吐き出す「狐火」と信じられていた。
森陰の何もない場所に突如現れる、葉のついていない炎のような花は、「狐火」に見立てられた。
キツネノカミソリの葉は、先が丸みを帯びた線形で、日本剃刀の刃に似ている。
そのように見立てられた、花の「キツネ」と葉の「カミソリ」を合わせて、
「キツネノカミソリ」という名になった。』
とあった。
キツネノカミソリは、秋田では沿岸部で多く見かけるが、内陸ではほとんど見かけない。
特に横手湯沢地方では皆無だ。
これは冬場の積雪が影響しているのかもしれない。
横手湯沢地方では、冬場の積雪量が2mを越すことも珍しくない。
そうなると四月下旬まで雪が残ることもある。
キツネノカミソリのライフスタイルは早春に葉を展開し、
初夏までの限られた期間に光合成をして、球根に栄養を蓄える。
春になっても、遅くまで雪が残っていたら、出葉に遅れをとることになる。
秋田の豪雪地帯にこの花が無いのはそのせいかなと思う。
北海道にはキツネノカミソリの野生品は無いようだ。
それならば野生品は本州ではどこまで分布しているのだろうか。
以前、春先に青森の深浦町へフクジュソウを見に行った折り、
林の下におびただしい量のキツネノカミソリの芽出しを見ている。
たまたま8月18日、同地を掠めた際、それらが一斉に開花していた。
津軽半島や下北地方は未調査なので、これが北限かどうかは何とも言えないが、
その咲きざまは実にみごとだった。
本編のキツネノカミソリは全て青森県深浦町で見たものである。
同じ深浦町の松神地区にあるお社に立ち寄ったら、
そこでは林(カラスザンショウ)の下がキツネノカミソリに覆われていた。
こちらのキツネノカミソリは日陰地のせいか
花色がやや薄いように感じた。
以上。
ヤブカンゾウはよく目立つ野草だ。
この花が咲くと、金鳥のコマーシャルではないが、日本の夏、
とりわけ田舎の夏を連想してしまう。
個人的には、実家のすぐ近く、線路端や農道の道端に咲いていたせいもあり、
非常に近しいものを感じる。
ところでヤブカンゾウの属するワスレグサ属 Hemerocallis は昔、ずっとユリ科だった。
花の形がユリによく似ているので、そのことに違和感をおぼえることはなかった。
しかし2000年代に発表されたAPGⅡ分類体系ではワスレグサ科となり、
ユリ科から分離独立した。
その後、APGⅢ分類体系では、ススキノキ科という聞き慣れない科名に変わっていた。
身近な花なのに、植物分類学の世界では、何やら遠い存在になってしまった。
写真は古いものばかりで恐縮。
まずは横手実家の線路端で咲いていたもの。
撮影は2017年7月19日。
次は秋田市自宅近くの空き地で見つけた群生。
撮影は2015年7月21日。
この群生はみごとだったが、翌年、宅地造成で消滅した。
ラストは五城目町郊外で見つけたもの。
ここは水田の畔であり、農家の方が意識的に刈残したもののようだ。
撮影は2013年8月3日。
以上。
6月30日、近所を巡っていたら、空き地で綺麗なピンク色の花を見つけた。
この場所は、少し前、意外なお花畑に遭遇した近所の空き地(こちら)の隣に位置する。
その場所には上左写真のように、ソーラー発電のパネルが並んでいる。
花の数はしこたま多く、数百、いや数千の規模だろうか。
今朝、facebookを見たら、自身の「思い出」の中にこの花が有った。
それによると、2017年7月1日、近所の別の空き地でこの花を初めて見つけていた。
日をほとんど違えず、花を咲かせるこの植物の習性に感心してしまった。
雑草にしては勿体ないくらい綺麗なので、庭に持ち込みたいくらいだ。
当時は初めナデシコ科かなと思ったが、
詳しい方から、リンドウ科の帰化植物、ベニバナセンブリかハナハマセンブリではないかとのご指摘を頂く。
花時もロゼット状の根生葉が有ることから、私は前者、ベニバナセンブリではないかと思っている。
原産地はよく分からないが、ヨーロッパやアジア、北アフリカに広く分布している一年草または多年草のようだ。
その隣、一部、ベニバナセンブリと混じりつつ、別の奇妙な花が有った。
こちらは花が小さすぎて(1センチに満たない)格別綺麗でも無いが、スリムでシースルーな草姿が面白い。
葉も驚くほど小さく、茎に張り付いたような付き方だ。こんなので光合成が出来るんだろうか。
クローズアップ写真を撮ろうと近づくがなかなかピントが定まらない。
マニュアルにしたら、今度は風で揺らぐ。
キバナノマツバニンジン。
アマ科の帰化植物で、原産は北アメリカ、一年草とのこと。
10年以上前、男鹿の寒風山の草原で一度見ているが、やっとうちの近所にもやって来た。
コロナ禍もあり、おいそれと海外旅行に行けなくなった(元々飛行機嫌いも有り、海外には行ってない)が、
今は花の方が海外からドンドンやって来る。
今回、この場所では奇しくもユーラシアと北アメリカの邂逅が有った。
世界の最先端?の花を見たければ、近所の空き地を探し回った方がよさそう。
ところで今朝(7月1日)早く、この場所に行ったら、
草刈りされてしまい、ベニバナセンブリの方はほとんど亡くなっていた。
昨日、自分が写したのは午後二時頃だから、そのすぐ後に刈り取られたことになる。
今年のベニバナセンブリとの出会いはかくも儚いものになってしまった。
以上。