(冬場は山には行きません。夏場の回想記事が主体となります。
その手始めに「高山植物」のカテゴリーを創設し、山の花について語って行きたいと思います。今回はその続きです。)
自分は古臭い人間なので、「高嶺の花」と言えば、エーデルワイスを連想してしまう。
エーデルワイス(セイヨウウスユキソウ) Leontopodium alpinum は
ヨーロッパ・アルプスなどの高所に咲く花で日本の山には無い。
しかし国内には同じウスユキソウ属(Leontopodium)でそっくりの花を咲かせる種類が幾つかある。
この仲間は(木曽駒ヶ岳を除く)日本アルプスや大雪山には無いが、東北の山には割と豊富なようだ。
そのひとつ、ミヤマウスユキソウ(ヒナウスユキソウ)Leontopodium fauriei
は日本海側の高山に行けば多く見られる。
当初、この花を見るなら、自分は月山だと思っていた。
ところが、2019年、朝日連峰の以東岳に向かった折りにそうとは言えないと気づいた。
2019/06/26 オツボ峰付近のミヤマウスユキソウの群生地。バックの山は化穴山(1446m峰との重なり)と甚六山。
2019/06/26 ミヤマウスユキソウの群生
朝日連峰の他の山や飯豊連峰にはもっと凄い群生があるかもしれないが、
ここは自分が今まで見た中では最大の群生だった。
稜線上は猛烈な風で帽子が吹き飛ばされそうだった。
花はいっときもじっとしてくれないので、連写した中でブレが少なかったと思われるものを選んでみた。
ミヤマウスユキソウの花は、星のような形をしているが、そのつくりはちょっとややこしい。
白い花びらや星のきらめきのように見えるのは萼や花弁ではなく苞葉、ここは白い綿毛に包まれている。
中心に黄色い球形の部分が数個ある。これは一個で花のかたまり(頭花)と聞く。
同じキク科で言えば、でかいヒマワリの花一個に相当する。
頭花は2ミリメートルくらいの小花(筒状花)の集合体で、小花には雄性小花と雌性小花があり、
それぞれ雄蕊、雌蕊を有すると言う。
お分かりいただけただろうか。
ウスユキソウの仲間の一個の花のように見えるものは、実は花の集合住宅、
いやもっと大規模なニュータウンのようなものなのだ。
ミヤマウスユキソウの花のアップ(2017/07/10 秋田駒ヶ岳にて)。
白い苞葉は中心の小花が咲き終わった後も健在だ。
そのため、この花はずっと長く咲いているように錯覚してしまう。
ウスユキソウの仲間の分布マップ
続いて月山。
ミヤマウスユキソウは山頂台地の風衝草原の他、姥ヶ岳に連なる稜線にも多い。
2015/07/05 月山のミヤマウスユキソウ群生地。キバナノコマノツメが混じっている。
2016/07/16 月山
2021/06/30
2020/06/22 2015/07/05 キバナノコマノツメと一緒。
2021/06/30 ミヤマシオガマと混生。
2020/06/22 イワカガミと混生。
ミヤマウスユキソウの学名 Leontopodium fauriei だが、
学名の種小名 fauriei は明治時代、鳥海山でこの種を採集したフランス人宣教師 Fauriei への献名と聞く。
ところが、現代の鳥海山にミヤマウスユキソウはあまり多くない。
その分布域は扇子森周辺に限られている。
2021/07/15 鳥海山のミヤマウスユキソウ生育地。
2021/07/15 鳥海山のミヤマウスユキソウ(左端にヨツバシオガマ)
2020/06/24 鳥海山のミヤマウスユキソウ
奥羽山系にはミヤマウスユキソウは少ない。
以前は和賀山塊や焼石岳にも有るとされたが、私自身、見てないし、他の方が最近見たという話も聞かない。
現在、この花が有る山は奥羽山系では秋田駒ヶ岳だけかもしれない。
その数は少なく、登山道近くではほとんど見られない。
2015/06/21 秋田駒ヶ岳のミヤマウスユキソウ
以前は上写真の株の前で、撮影者が行列を作っていたものだが、ここしばらく見ない。
もしかしたら盗掘されたのかもしれない。
下の小さな株は近くの別山で見つけたもの。こちらは何とか残って欲しいものだ。
2018/06/16 近隣の別山にて。
「ジャパニーズ・エーデルワイス(2)」に続く。
スゴイ!ミヤマウスユキソウがたくさん@@
微妙に違いがあるのでしょうが、私にはわからないです。
早池峰ウスユキソウが、1番エーデルワイスに近いと
教えて頂きましたが、真実は?です。
早池峰で見た時は、感動しました♪
森吉の樹氷見物、お天気が上がったらお薦めです。
ゴンドラは、往復券1800円でした(ジャフカード提示で少し割り引かれ)
たまには、奥様とご一緒に~ 寒さ対策はガッチリと。
モウズイカさんは、健脚ですからスノーシューで頂上へも。(届けが必要です)
ストックとスノーシュー無料で貸してくれます。
ハヤチネウスユキソウは、続きの「ジャパニーズ・エーデルワイス(2)」で取り上げる予定です。
じっくり較べてみて下さい。
といっても本物のエーデルワイス自体、一般的な花ではないので較べようがないのかもしれません。
エーデルワイス類はヒマラヤや日本に多くの種類が自生しており、花も奇麗なので、
わざわざヨーロッパまで見に行くまでは無いと仰る学者も居ます。
森吉山、いいですね。でもクルマが四駆ではないので、雪解けまで待ちます。