寒風山は秋田の男鹿半島にある小さなお山。
標高は355mと低いが、立派な火山である。
山頂まで観光道路が走り、登山の対象にはならないが、
とても眺めがよく、ピクニック客やハングライダーで訪れる人も多い。
山の大部分はススキやシバの草原に覆われている。
これは草刈りや火入れで維持されている半自然草原だが、
日本海側地方では珍しく、草原性植物の宝庫になっている。
代表として、アズマギクの群生。
2010/05/19 寒風山中腹のアズマギク群生。
掲載順はおおむね、開花が早いものからとした。
植物名の同定にあたっては、既存の野生植物関係の図鑑以外に、
手持ちの古書、工藤茂美・著、「男鹿半島の花」(加賀谷書店)(絶版)、
並びに岐阜大学津田研究室ホームページ(現在、寒風山の植物目録の頁は削除されてしまった)
などを参考にさせて頂いた。
何か間違い等にお気づきの方はご指摘頂きたい。
寒風山は低山だが、
(男鹿三山と較べると)春の訪れは遅く、四月はまだ枯れ野原
(男鹿三山ではフキジュソウ、カタクリなどスプリングエフェメラルが多いが寒風山には無い)。
しかし五月連休明け以降は、急速に花数が多くなる。
アズマギク Erigeron thunbergii
2020/05/08
寒風山はアズマギクの群生に関しては、秋田では最大規模と思われる。
オキナグサは50年前頃までは県内各地で割と普通に見られたが、最近はめっきり減ってしまった。
理由は草地の減少と盗掘だろうか。
オキナグサ Pulsatilla cernua
2010/05/19
(上右)ニオイタチツボスミレ Viola obtusa
2020/05/08
花は1.5センチ程度と小さいが、色鮮やかなので割と目立つ。
良い香りがすると言われるが、鼻の鈍い私にはわからない。
スミレ Viola mandshurica
2013/05/21
工藤茂美氏の著作では、スミレ類は珍しいヒゴスミレが、更にスズランも紹介されているが、
私は見たことが無い。
津田氏のホームページにも無いことから、両種とも絶滅してしまったものと思われる。
キジムシロ Potentilla fragarioides var. major
2023/04/23
よく似たミツバツチグリも有ると思うが、自信の有る写真の手持ちが無かった。
以降の課題とさせて頂く。
フデリンドウ Gentiana zollingeri
2010/05/19
(上右)ヒメイズイ Polygonatum humile
2014/05/23
一見、スズランに似ているが、こちらはアマドコロ属(科はキジカクシ科で同じ)。
ヒメハギ Polygala japonica
2014/05/23
山麓の方に下りていくと・・・。
ウマノアシガタ(キンポウゲ)
Ranunculus japonicus
2014/05/23
(上右)ホタルカズラ
Lithospermum zollingeri
2014/05/23
オドリコソウは男鹿では海岸近くの斜面に広く分布しているが、寒風山では山麓の一部に群生していた。
オドリコソウ Lamium album var. barbatum
2014/05/23
オドリコソウ Lamium album var. barbatum
2010/05/19
(上右)センダイハギ Thermopsis lupinoides
2014/05/23
道路のり面の限られた場所に咲いていた。自生なのか植栽なのか不明。
サワオグルマは山麓の休耕田や畔で多く見かけた。
サワオグルマ Senecio pierotii
2014/05/23
コウゾリナ Picris hieracioides subsp. japonica
2014/05/23
(上右)スイバ Rumex acetosa
2014/05/23
「(2)夏」へ続く。
アズマギクを毎年見に行きます。
ここは、本当に見事に咲きますね。
スズランは、今でもあるということを聞きました。
が、探しても見つけれなかったです。
オキナグサも、膝が元気なころ噴火口の外回りを
ぐる~と歩いてみて、見つけたのですが
もう、その場所には無い気がします。
あと、これはちょっと控えさせて頂きます・・・
アズマギクもオキナグサも今から60年前、私の小学生時代は十文字町郊外の農道沿いに生えていました。
その後、急速に無くなりましたが、当時は経済成長の真っ只中。
この二つの草は時代の大きなうねりの中に消えてしまいました。
寒風山のアズマギクはまだ健在のようですが、
秋田市に来て結婚した頃(約30年前)に較べると、随分と密度が疎らになったように感じます。