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説明

村田沙耶香

2020-12-12 22:27:35 | 小説




【群像(2020年6月号)】


雑誌、講談社、2020年刊

<商品説明>より
[小特集 多和田葉子]
・インタビュー
「離れていても、孤独ではない人間たちの闘争」 聞き手・構成:小澤英実
・評論
「多和田葉子の『星座小説』--『星に仄めかされて』をめぐって」岩川ありさ

[特集 翻訳小説]
・アンケート「最新翻訳小説地図」

<読む前の大使寸評>
表紙に出ている特集「多和田葉子」「翻訳小説」というコピーに太子のツボが疼くわけでこれは買うっきゃないで・・・
ということで久しぶりに雑誌を買い求めたのでおます。

rakuten群像(2020年6月号)



翻訳小説に関する辛島デイヴィッドのレポートを、見てみましょう。
p124~125
<英語圏で注目を集める日本の女性作家たち>
 ここ数年、日本の女性作家が英語圏で注目を集めている。2018年には、村田沙耶香『コンビニ人間』の英訳がニューヨーカー誌など十数誌で「ブック・オブ・ザ・イヤー」に選ばれ、多和田葉子『献灯使』の英訳が全米図書賞を翻訳文学部門で受賞した。

 昨年は、『センセイの鞄』が英米でロングセラー化している川上弘美の作品が新たに2冊刊行され、小川洋子『密やかな結晶』の英訳が全米図書賞翻訳文学部門の最終候補になり、つい先日ブッカー国際賞候補にも選ばれた。

 2020年もこの勢いは止まりそうにない。日本の女性作家による小説の英訳が毎月のように刊行される予定だ。2月にはイギリスで松田青子『おばちゃんたちのいるところ』が独立系の出版社ティルティッド・アクシス・プレスから刊行され、ガーディアン紙で「驚くべき」作品だと評された。

 川上未映子『夏物語』の英訳は4月から5月にかけて英米などで刊行される予定だが、2017年に村上春樹が『夏物語』へとアップデートされた『乳と卵』を「breathtaking(息を呑むほどに見事)」と絶賛した記事が文芸サイト「Literary Hub」に掲載されたのをきっかけに期待感が高まり、2019年12月にヴォーグ誌の「2020年に読みたい41冊」の一冊に、刊行を2週間後に控えた今年3月下旬にはニューヨーク・タイムズ紙の「4月に読みたい7冊」に選ばれた。

 夏から冬にかけては、8月に川上弘美『このあたりの人たち』、10月に村田沙耶香『地球星人』、11月には津村記久子『この世にたやすい仕事はない』や小山田浩子『穴』の刊行が予定されている。また、2021年には中島京子の短編集、今村夏子の『むらさきのスカートの女』。川上弘美『大きな鳥にさらわれないように』などの英訳も出ることが決まっている。この日本の女性作家が英語圏での躍進について、その立役者である翻訳家たちにメールで話を聞いてみた。

<英米の出版業界の関心>
 川上未映子や小山田浩子の作品を訳しているデイヴィッド・ボイドは、日本の女性作家による作品の英語圏における需要の「変化は明白だ」と言う。数年前まではアメリカの編集者の日本の女性作家に対する関心はそこまで高くなかった。それがここ数年の間に「何人かの編集者に(男性よりも)女性の作品を出したいとはっきりと言われる」経験をした。

 川上弘美や西加奈子の作品を訳しているアリソン・マーキン・パウェルも変化が見えてきたのはここ数年だと指摘する。オープン・レター(翻訳文学専門の出版社)が管理していたデータベースを用いて、2012年から2017年にかけての日本人作家の英訳の年間出版点数を調べてみたところ、男性による作品が圧倒的に多かったと言う。「平均で(女性による作品が)26%。10対1の年もあった」。

 村田沙耶香や中島京子などの作品を訳しているジニー・タプリー・竹森も、英訳されている女性作家の作品は増えている実感があると言う。同時に「今でも数字だけ見ると男性作家の方が多い」と指摘する。前述のデータベースを調べると、2019年に日本語から英訳された作品は、「男性作家の作品が24点、女性作家の作品が17点」。ただし、これはアメリカだけの数字で、男性作家による作品の多くは漫画やライトノベルであるとも捕捉する。いわゆる「リテラリー・フィクション」については、女性作家による作品の方が多い。