コインロッカーに荷物を取りに行く。夫は「今のロッカーはお金は後払いらしい、便利なもんだな」などと言ってロッカーを開けようと、操作手順に従った。「整理券の番号を入れてください」夫????
1つしか空いてないロッカーに荷物を入れてふたを閉め、赤いランプがついたのを確かめて、「お金は後払いか・・・」と思いつつ、地下鉄の入り口で待っている妻のもとに走って戻ってきた。身軽になって、浅草で旅の最終日を満喫して荷物を取りにロッカーに・・・
荷物を取りに来た人を見ていると、みな整理券らしきものを持っていて、そこに記されている番号を当てはめている。ロッカーに荷物を入れ、お金を入れて初めて整理券が出てくる。後払いなんて都合のいい話あるはずがない。疑いもしない夫のおっちょこちょいにもあきれるが、刻々と迫っている「こまち」の乗車時間。今さらせめてもどうしようもない。
とりあえず記されいる連絡先に電話を入れると、10分くらいで係りの人が来てくれた。温厚そうな方で「お金を入れないで閉めた場合は、ランプがついてもしばらくすると点滅して開いてしまうんですよ。今閉まっているってことは他の人が使っていると思いますよ。でも、開けて確かめてみましょうか」そう言ってくれた。
取りに来る人、預ける人、なかなか操作ができない。やっと開けて、確かめるが私たちの荷物ではなかった。着替えなど大したものは入っていなかったけれど、孫がきっと喜ぶだろうと買った土産がこうなるとひどく惜しい。肩を落としてあきらめかけたその時、開けたロッカーに荷物を取りに来た人が、「もしかしたら、このロッカーに荷物を入れた人ですか?駅員さんに預けましたよ」と無断で開けたことを怒りもせずに、教えてくれた。人のよさそうな若いご夫妻だ。本当にありがたい。地獄に仏だ。名前を聞いておけばよかったと後で思ったが、その時はただただ頭を何度も下げて、駅員さんのもとに走る。
東京メトロの若い女の駅員さんだった。いかにも事務的「ちょっと待ってください」どこかに電話している。「中に何がはいっていたんですか?」「緑のバックなんです。猫の模様の化粧ポーチ」「他には?」夫「秋田へ帰る新幹線の時間が迫ってるんだよ!」声を荒げる。そこにさっきの若いご夫婦がきてくれて、「何時何分ころあずけましたよ」と時間まで告げてくれる。「ここにはありません。階段を登った右側の事務所にあるので、そこまで行ってください」なんと冷たい物言い・・・若いご夫婦に頭を下げ、夫と走る。息が切れる。
「お父さん、いらいらしないでよ。」などと言いながら、事務所に着く。緑色の見覚えのあるバックがあってほっとする。「それです。よかったあ」とハアハア肩で息をつく。ところがだ。私たちに背を向けて、中年のおじさんとつんとしたメガネ姉さんが、「中に入っているものを言ってください。」とのたまう。「猫の模様のポーチ」「それとあとは、着替えかな」「着替えなんてはいっていませんよ」ホテルから送った荷物と勘違いしていた。夫が「バックの下の方に緑の袋に入ったおもちゃがあるはずだ」プッツンしたのは私だった「ここは警察ですか!?列車の時間がせまってるんですよ!」向こうも仕事のマニュアルだろうが、あまりに事務的な対応に東京メトロの印象は私の中で最悪になった。
東京発16時56分の「こまち13号」に何とか間に合った。ロッカーの係りの人、若いご夫婦のおかげで、こちらの不手際にもかかわらず荷物も失わずに済んだことは奇跡に近い。そうだそうだ。最後に親切な人に救われたことに感謝だね。なかなかおさまらない腹立たしさを、2人反省と感謝で鎮めて帰途についた。
あの時の若いご夫妻本当にありがとうございました。おかげで孫の笑顔が見られました。