3月も下旬。花粉症がピークだ。今日羽織はかま姿の女子学生さんに出合った。合格発表と卒業式の季節。そして桜開花間近。
ハンガリー、スロバキア、オーストリア、チェコの中欧4ヵ国ツァーの最終観光地がチェコのクトナー・ホラだ。初めて聞く名前だ。こちらでは「ボヘミア王国の宝石」「王国の財宝庫」と呼ばれ有名らしい。
クトナー・ホラはプラハから東へ65kmの小さな中世都市。13世紀後半に良質の銀鉱山が見つかり急激に発展、王立造幣局が設立され中欧の国際通貨プラハ・グロシュ銀貨を生産し、名をとどろかし一時期プラハに次ぐ繁栄を遂げる。しかし16世紀に銀が枯渇するとたちまち衰退。おごれるもの久しからずか! 当時のままの街並み、建造物が今もたたずむ。中世で時が止まったのような静寂な町。チェスキークルムロフにどこか似ている。 1995年中世の栄光を残す建物群が世界遺産になる。
まずは聖バルバラ教会。黒い尖塔が天を衝く。銀鉱山で裕福な時代にプラハの大聖堂に負けない教会を建造開始したが、銀が枯渇で資金不足となりやむなく一部質素な外観が残る。
次に墓地教会(納骨礼拝堂)を観る。この教会は内部が4万体もの遺骨で見事に装飾されている。造形物はピラミッド、シャンデリア、天井飾り、家紋…すべて人骨部位の巧みな組み合わせ。
ガイドさんによるとその昔大変敬愛された牧師さんがいて近隣諸国からの巡礼者がたえない。巡礼者の遺言は「この教会に埋めてくれ」。その他 戦争、ペストでなくなった遺骨等合計4万体とか。後日遺骨は教会内部に安置、素晴らしい納骨礼拝堂として現在に生きる。拝観後外に出ると、そばの墓地に「黒鳴き鳥」がいた。
31名のツァー参加者の内、このオプショナルツァー参加者9名のみ。「遺骨なんて気持ち悪い、怖い」。しかし、全くそんな印象はなく、敬虔な気分に。
プラハに戻る街道は渋滞が激しく、迂回路を走らせようやく待ち合わせ時間に間に合う。車窓からフォルクスワーゲン、トヨタ、パナソニック、…の看板が目立つ。日本のメーカー名前を見ると何となく嬉しい。
後日談:2018年NHK番組「所さん大変ですよ!」で各国墓地事情が話題に。個人の墓だけでなく、共同墓地、海に散骨、山に散骨、世界の墓地を紹介しており、その中で墓地教会が登場した=遺骨の装飾品を飾っているのは世界でここだけとか。
次回はシリーズを終わるにあたり、ツァーよもやま話を予定。
クトナーホラ観光 聖バルバラ教会の偉容 黒い尖塔がまぶしい
同行の強矢(すねや)さんと私
高台にある聖バルバラ教会からの眺め、左手の建物は旧イエズス会修道院
遠くに教会の尖塔が見える 左から聖ネポムツキー教会、聖ヤコブ教会、ウルスラ修道院と推測
聖バルバラ教会の内部、天井にフレスコ画、ステンドグラスも見える
次に納骨礼拝堂を拝観 こちらはそんなに高くない建物
納骨礼拝堂の内部は遺骨で作られた装飾品がズラリ
観光客で混雑 遺骨で作られたピラミッド
シャンデリアも遺骨のパーツで飾られている
天井にも遺骨の装飾がギッシリ 何から何まですべて遺骨製装飾品
子供さんの頭蓋骨の装飾品も
外に出ると天気も良く墓地には生花が飾られて、黒鳴き鳥がいた