旅するくも

『旅が旅であることを終わらせる為の記録』

魂の民主主義

2011-05-11 18:22:52 | 編集長の本棚
『魂の民主主義』
北米先住民・アメリカ建国・日本国憲法
星川淳:著
築地書館

ニューヨークの北に位置し、セネカ・カユーカ・オノンダーガ・オナイダ・モホークが
集まりイロコイ連邦というアメリカ国土に独自のパスポートを発行する準独立国がある。
現在はタスカローラが加わりイロコイ・シックスネーションズとなっている。
イロコイ連邦が民主主義に強い影響を与えていたという有名な話。

アメリカ建国、日本国憲法までの流れとなる源流の物語のもう半分をグリーン・ピース
ジャパンの事務局長であり一万年の旅路の訳者である星川淳さんが語った本。
北米先住民についてわからないことだらけだけれど、特に歴史に弱い僕にとっては
久しぶりに出会えて良かったと思えた本だった。

話の中に出てくるクラン・マザー(族母)の存在にも大いに関心があるのだけれど、
それ以上に亀の島にやってきた白人が北米先住民の生き方に大いに関心を持っていた
ということは僕にとって大きな発見だった。

『(ヨーロッパ人は)だれもが腹も心もじゅうぶんに満たされてるもっと原始的な社会の
ことを知れば、脇目もふらずに世俗の財を求めるいまのような生き方を考え直すかもしれない。
アメリカ・インディアンはこうした理想にもっとも近づいた人びととして、われわれの手本に
なってくれるだろう。』


『未開人(当時のヨーロッパにおけるアメリカ・インディアンの通称)の政治組織は、
自然な自由を唯一の目的としている。
・・・・彼らは自由を守り、豊かな恵みを享受しながら・・・・
いかなる法律も警察も宗教ももたずに生きるのである。』


といった具合に。
「何度生まれ変わってもインディアンにはなれない」と言われる白人の目に北米先住民が
どのように映っていたのか僕はとても興味がある。
最近僕が読んだ本の中で最もオススメしたい一冊。