旅するくも

『旅が旅であることを終わらせる為の記録』

想定外

2011-08-29 17:43:55 | 物語
東京電力が先週の会見で「福島第一原発は高さ十メートル超の津波に襲われる可能性がある」
と試算していたことを明らかにした。

東電は二〇〇八年に試算していながら放置し、原子力安全・保安院に報告したのは
東日本大震災の四日前だった。「高さ九メートル超の津波が来る」という別の試算もあり、
こちらは〇九年に保安院に報告している。

東電と政府はこれまで「地震と津波は想定外」と言い続けてきたが、実は想定内だったわけだ。

国民を欺き続けた揚げ句、世間の関心が民主党代表選に集まっている時期を狙って白状した。
当事者として試算があるのは最初から分かっていたのだから、完全な確信犯である。

なぜ、いままで黙っていたのか。

単に世間の批判を恐れたというだけではない。
それは賠償問題への思惑が絡んでいたはずだ。
東電は「地震と津波は想定外の自然災害だったから賠償は政府の責任」という論法で生き残りを
図ろうとした。

ところが「想定内の津波だった」となれば、東電が責任逃れできなくなる。だから、賠償枠組みが
決まるまで隠し通そうとしたに違いない。政府も知っていながら賠償支援機構法が成立するまで
黙っていた。
 原発事故をめぐって、また一つ重大な情報隠蔽(いんぺい)が明るみに出た。東電と政府は
「共犯関係」にある。これでは信頼回復などありえない。 (長谷川幸洋)

東京新聞TOKYO Webより

いまさら何も驚かない。

山にトンネルを掘る(大鹿村レポート)

2011-08-29 11:26:12 | リニア中央新幹線
311以降、急速に計画が進んでいるというリニア中央新幹線。
そのリニア中央新幹線が実現すると山にトンネルが掘られることになる長野県大鹿村を
衆議院議員の山崎誠(民主)が見学するとのことで、虔十の会の代表坂田さんに声を
かけてもらい同行したときに感じたことを僕なりの視点でまとめてみようと思う。
といっても、長文になったブログはあまり役にはたたないと思っているので、いくつかに
分けて、ここに載せる事にする。
静岡側ではリニアの事について、ほとんど知らされてなく無知である。
僕もその中の無知の中の一人だ。
僕なりにまとめてはいるが、間違ったものも多くある事が考えられるので、間違った事に
ついてはご指摘願いたい。
なお、今回、山崎衆議院議員は民主党のごたごたで欠席となった。

まず、あまり理解されていないトンネルを掘るという事が山と、生態系にとって、
なにを意味しているのかという事を東京八王子にある高尾山を例にしたいと思う。

日本でもっとも多くの人が登る高尾山は、1321種というイギリス一国分に相当する
植生に昆虫は5000種、(日本三大生息地)野鳥130種にもなり、その生き物を
育んでるものは高尾山の中を通る豊富な命の水である。

その高尾山では圏央道を建設する為にトンネル工事が進められている。
山にトンネルを掘るという事は、ただ削るというものではない。
穴をあければ、圧力が変化し、圧力が低くなったトンネルに水が集中するため、当然そこから
大量の水が溢れ出す。
高尾山では、海底トンネルを掘る方法と同じシールド工法で、セメントミルクを注入し、
固めてから掘る方法がとられた結果、高尾山の小仏川の水は真っ白に濁り、魚、蛍が一度全て
駄目になった。
大鹿の水を含みすぎて地滑りをおこす山では、水を抜く為の排水路が作られているくらいに水が
豊富である。
南アルプスに掘られるトンネルも高尾山を掘るのと同じシールド工法だと考えられている。

5年半かけて半分まで掘られた高尾山トンネルは311以降急速に進み、下り線の残り半分が
半年で掘られ7月末に貫通してしまった。
上り線は8月中に貫通予定。
貫通してからも水は止まることなく、トンネル周辺の排水路からは毎日200トンの命の水から
流れ出ており、すでに沢が二つ枯れている。
トンネル工事が終わったからといって、水が止まるわけではなく、今も流れ続けている。

僕が住んでいた古民家の井戸も第二東名のトンネル工事によって枯れている。
大阪の箕面は観光名所の滝があるけれど、トンネル工事によって滝が枯れた。
今ある滝はポンプアップしたものを上流から流しているものだが、そこに訪れた人は
滝に手を合わせ何かを祈っている。

山にトンネルを掘るという事は水に変化を与え、そこにいる生き物の繋がりを断ち切ることに
なり、山とそこで暮らす生き物を殺すことを意味する。
なにより、トンネルが掘られる南アルプスは 僕の地元である島田市を通る大井川の源流である。