旅するくも

『旅が旅であることを終わらせる為の記録』

地域への影響(大鹿村レポート)

2011-08-30 21:23:53 | リニア中央新幹線
山をトンネルを掘る事で起こる水とそこで暮らす生き物への影響は前回、僕なりに
まとめた。

まず、地域への影響について上関町祝島を例に書きたいと思う。

ちょうど一年前に、上関原発予定地である田ノ浦の向かいにある祝島に行ったとき、
鎌中監督の映画や人から聞いていたものとは違うものがそこにあったという印象だった。
祝島を案内してくれたのは僕と同じ歳で北海道出身のランボーという人物だった。
(最近、彼女ができたらしい。)
祝島に着いてすぐに話しかけてくる人がいたが、「着いていかない方がいい」と言う
ランボー。
どちらかというと原発賛成派の人だったらしい。
それから祝島という小さな島で会う人、お世話になる人達が原発に対してどういう考えで
「あの人は反対派だけど親は賛成派」などと聞かされ続ける。
海辺で海を眺めているだけで100メートル先からもおばあちゃん達が僕が何者か見ている
ことに気がついた。
というよりは、島に着いた時から監視され続けていたと言った方が正しいと思う。
島自体が原発によって反対と賛成と真っ二つに別れ原発建設にはそこに暮らす人たちの
関係をぶち壊すのに充分な力があった。

「平さんの棚田」というとんでもないサイズの棚田で米を作る平さんも「原発よりもみんなの
関係がこわせれた事が一番悲しい」とおっしゃっていた。

大鹿村でもすでに反対、賛成と意見と同時にそこに暮らす人たちが割れ始めているという
印象だった。
ただ、立場上反対と言えない人や、あえて反対とは言わずに「いらない」とだけ言う人が多く、
リニアによって大鹿村の景色を変えられたくないけれど、人口1000人の大鹿村の人と人が
繋がりあった人間関係も壊されたくないというおもいが、ただ「いらない」という言葉に
含まれていると僕は感じた。