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QUATRE ILLUSTRATION [Kazushi Ryoguchi] Blog

空気公団

2010-04-21 17:10:18 | Quatre Music

好きな音楽…というものにはいろいろな種類があって、基本的には音色やコード進行に惹かれる私ですが、詩の内容がわからなくても心惹かれる洋楽や、音だけで虜になるジャズと違って、その世界観を言葉からしっかりと読み取る事の出来る邦楽は、とかく好き嫌いがはっきりと出たりはするものの、好みのものが見つかった時には最も喜びの深い音楽との出会いとなります。
詩と音のバランスが最高の状態で昇華された邦楽といえば、私の中では真っ先に思い浮かぶのがキリンジですが、心に届く詩を聴かせてくれるアーティストは他にも沢山いて、そのどれもが独自の世界観と空気感を持った個性的な人達ばかり。
詩の手触りは、聴く手にしてみれば最も繊細な部分。文字数を合わせることを優先し、選びきれなかった浅い言葉や、なんとなくお洒落な語句を繋ぎあわせただけのものは、薄っぺらすぎてイマイチ心に響かなかったり…。そんな中、心の奥深くに直接届くのは、実はとってもシンプルな言葉なんだと、改めて教えてくれたのが、今日紹介する「空気公団」。
懐かしさを感じるシンプルな音作りも最高に魅力的だけど、素朴な詩が加わる事によって、それは唯一無二の世界観となる…。ママレイド・ラグの「夜汽車」や、CHAINSの「GWARANDO」に出会えた時と同じく、「呼び声」や「思い出俄爛道」を聴くたびに、懐かしくも心の深い部分を揺さぶられるこの感覚は、このバンドに出会えた最高の喜びです。10年の活動期間に制作された音源から、ファンがセレクトした選曲を収録した「ぼくらの空気公団」は、早くも私の人生の1枚といえるでしょう。
バンド名が素敵なのも大事なポイントのひとつ。「羊毛とおはな」といい、この「空気公団」といい、バンドの世界観を柔らかくも的確に表現している名前は、その活字の並びを見ているだけでもワクワクさせられるものです。