日本刀鑑賞の基礎 by ZENZAI  初心者のために

日本刀の魅力を再確認・・・刀のここを楽しむ

脇差 津田越前守助廣延寳四年 Sukehiro-Ⅱ Wakizashi

2011-06-04 | その他
脇差 津田越前守助廣


脇差 銘 津田越前守助廣 延寳四年八月日



 これが完成された助廣の地鉄であり、ごくわずかに五連の湾れを交えた直刃。均一に、しかも微塵に詰み澄んだ地鉄に細かな地沸が付いてしっとりとした潤い感に満ち満ちている。ここに粒の揃った小沸に匂の複合した明るく沸深い焼刃を施している。
 微塵に詰んだ小板目鍛えの中に細い地景が蠢いているのが判るだろうか。多くは言わない。写真で本質は伝えられないことは承知だが、判る範囲で鑑賞されたい。

 

脇差 助廣‐Ⅱ Sukehiro-Ⅱ 脇差

2011-06-02 | 脇差
脇差 越前守助廣


脇差 銘 越前守助廣 雙



 初代助廣が没して間もない、二代助廣三十歳頃の作。大互の目出来は濤瀾乱へ発展する前段階で、互の目の間に玉を焼いている。地鉄は板目肌が地景によって強く現われたもので、ことに刃境辺りに蠢くような肌が観察され、これが刃中にも連続している。次第に大坂地鉄の特徴でもある綺麗に揃った小板目鍛えに移り変っていく途中といえようか。しかしながら、板目肌が地景によって綺麗に起ち現われた地鉄も覇気が感じられ、鑑賞の大きな要素といえよう。
 小沸深く付いた焼刃は、鍛え肌と感応して刃境に砂流しやほつれなどの働きを生み出している。玉焼刃の辺りにも地刃の働きが活発で、濤瀾乱やわずかに湾れた直刃は完成された美の極致であるが、本作のような出来も感じるところが多い。