日本刀鑑賞の基礎 by ZENZAI  初心者のために

日本刀の魅力を再確認・・・刀のここを楽しむ

刀 近江大掾忠廣 Tadahiro Katana

2017-12-28 | 
刀 近江大掾忠廣


刀 近江大掾忠廣

 浅い湾れ出来の刃文。これも綺麗だ。どのような刃文も、優れており、綺麗だ。その背景には良く詰んだ小板目鍛えがあり、この均質な地鉄が刃中に乱れを生じさせていないのであろうと考える。地鉄に乱があれば、その部分の刃文にも影響する。端正な直刃であればその乱の様子が簡単に判ってしまうのだ。均質な小板目肌の美しさと、そこに焼かれた刃文の調和は、簡単ではないのだろう。





刀 近江大掾忠廣 Tadahiro Katana

2017-12-27 | 
刀 近江大掾忠廣


刀 近江大掾忠廣

この互の目乱出来も肥前刀であることが良く判る作。地鉄は、良く詰んで揃った小板目鍛えに地沸が付いてわずかに地景が交じった、小糠肌の典型。互の目乱の刃文は小沸が揃って刃境に沸が叢付く。帽子だけは常の小丸返りとは異なり、わずかに乱れ込んで先端に掃き掛けを伴っている。とても綺麗な刃文である。





脇差 近江大掾忠廣 Tadahiro Wakizashi

2017-12-22 | 脇差
脇差 近江大掾忠廣


脇差 近江大掾忠廣

 互の目が綺麗に並ぶ構成とされた刃文。ほぼ同じ大きさで互の目が並んでいるが、どこかに二つずつ連れたところがある。また足が長く射し、互の目の中に葉が窺え、肥前刀であることが良く判る出来。小板目鍛えに微細な地沸が付いているところも肥前刀の特質。近江大掾忠廣の互の目出来というとこのような作がまず思い浮かぶ。





刀 近江大掾忠廣 Tadahiro Katana

2017-12-21 | 
刀 近江大掾忠廣


刀 近江大掾忠廣

 互の目が綺麗に構成された作。肥前刀の互の目は、このように二つずつ連なる傾向がある。そして互の目の中に葉が配されており目玉のように見える。これを虻の目と呼んで肥前刀の刃文の特徴としている。本作は矩上が小模様の互の目で、焼頭も高低変化があり、次第に互の目が大きくなって二つ三つと連なる構成。刃境の沸の揺らぎと刃中に溶け込んでゆく様子が、何て綺麗なんだろうと思う。





脇差 近江大掾忠廣 Tadahiro Wakizashi

2017-12-20 | 脇差
脇差 近江大掾忠廣


脇差 近江大掾忠廣

 小板目鍛えの地鉄が特に綺麗で、しかも肌目が淡い地景で起って見える力強い作。刃文は直刃だが、物打辺り横手下辺りがわずかに湾れ込んでいる。焼刃を構成している小沸も特に微粒子で、しかも均質、刃中は一段と明るく冴え冴えとしている。忠廣の優質と美しさが際立つ作である。



脇差 近江大掾忠廣 Tadahiro Wakizashi

2017-12-18 | 脇差
脇差 近江大掾忠廣


脇差 近江大掾忠廣

 反りの強い小脇差。小板目鍛えの地鉄は良く詰んで地沸が付き、潤い感がある。刃文は浅い湾れ刃。刃縁の小沸は匂の満ちた刃中に淡く溶け込み、その中を淡い沸筋が走っている。これが二重刃風に見える。奇麗な出来である。沸を意識した焼刃と、彫り物も大振りに施しているところを見ると、相州物写しであろうか。

脇差 近江大掾忠廣 Tadahiro Wakizashi

2017-12-15 | 脇差
脇差 近江大掾忠廣


脇差 近江大掾忠廣

 先に紹介した互の目丁子出来に似た刃文構成だが、それに比較して互の目が丸みを帯び、穏やかに出入りした丁子刃らしい出来となっている。地鉄は小杢交じりの小板目肌で、杢肌が地景で綺麗に見えている。刃先近くまで足が長く入り、先端は刃中に溶け込むように柔らか味がある。



脇差 近江大掾忠廣 Tadahiro Wakizashi

2017-12-13 | 脇差
脇差 近江大掾忠廣


脇差 近江大掾忠廣

 江戸時代の綺麗な刃文を紹介している。この脇差は少し磨り上げ。寛永二十年だから近江大掾を受領したすぐあとの作。総体が忠廣らしい綺麗な出来。小板目肌が詰んで全面に小沸が均質に付き、小沸出来の直刃が焼かれている。ある程度反りが付いて先幅が広く、未だ戦国の世を駆け巡った武将が活きていた時代の作であり、いかにも武器といった風情だ。



刀 藤原忠廣 Tadahiro Katana

2017-12-12 | 
刀 藤原忠廣


刀 藤原忠廣

 まだ若き寛永十四年の作。忠廣は寛永十八年に近江大掾を受領している。沸の強い互の目乱出来。小板目鍛えである点は基本だが、かなり地沸が叢に付き、一部は湯走り状にも感じられる。沸が強く深いことから刃文構成も分かり難いのだが、確かに互の目の連続が判る。沸足も入り、砂流しも掛かる。互の目の一部に虻の目状の葉が複合されているところは、もう少し後の肥前刀の特徴かと思ったが、この頃にすでに存在しているのは面白い。



脇差 近江大掾忠廣 Tadahiro Wakizashi

2017-12-11 | 脇差
脇差 近江大掾忠廣


脇差 近江大掾忠廣

 直刃に見えるが、ごく浅い湾れ調子の刃文。地鉄は小杢を交えた小板目肌に地景が入って縮緬肌状に活力がある。刃境に小沸が付いて綺麗に流れるように見える刃文で、刃中には小沸が淡い砂流のように掛かり、特に物打辺りが顕著で美しい。所々に淡い金線が流れ掛かっているのも綺麗だ。



刀 近江大掾忠廣 Tadahiro Katana

2017-12-09 | 
刀 近江大掾忠廣


刀 近江大掾忠廣

 互の目丁子出来の忠廣。小互の目に小丁子が交じり、小足が盛んに入る。焼頭は小さく丸みを帯びたり尖り調子となったりし、足は逆がかったり広がったり、飛足となったり、これらが複合して複雑な刃境の文様となっている。珍しい刃文構成で、しかも頗る出来が良い。



刀 近江大掾忠廣

2017-12-08 | 
刀 近江大掾忠廣


刀 近江大掾忠廣

 江戸時代に綺麗な刃文を表現した刀工とその作品を紹介している。極上の小板目肌に直刃を焼いて高く評価を得ているのが忠廣。大坂刀工と同様に、小板目肌や小杢目肌を基調としている。日本刀を産業とした肥前鍋島家のお抱え刀工であることと、頗る人気が高かったこと、長命であったことから比較的作品が多く、目にする機会も多いと思う。先に紹介した助直などとも地鉄の質感が違うところが良く判ると思う。小板目肌に均質の地沸が付いているところが小糠を蒔いたような、と表現されることから、この肥前肌を小糠肌ともいう。刃文は刃境に小沸が付いて刃文が沸の帯のようになるところも肥前刀の特徴。220□



脇差 直江助政 Sukemasa Wakizashi

2017-12-07 | 脇差
脇差 直江助政


脇差 直江助政

 助政は江戸後期の水戸を代表する一人。助廣流の美しい濤瀾乱刃を焼いている水心子正秀と助隆に学んだ。殊に小板目鍛えの地鉄が綺麗で斑がない。焼刃も沸の粒子が揃って明るく冴え冴えとしている。刃境は柔らか味が感じられ、刃先に向かって淡く溶け込むような小沸と匂。最高の技術が窺える。刃文構成は濤瀾乱というより穏やかでおおらかな大互の目乱であろう、丸い飛焼も含めてとても綺麗だ。助廣流の玉焼刃を水晶玉のようだと表現したことがあるが、そのような透明感がある。120□