日本刀鑑賞の基礎 by ZENZAI  初心者のために

日本刀の魅力を再確認・・・刀のここを楽しむ

脇差 景吉(主水正正清) Kageyoshi(Masakiyo) Wakizashi

2015-10-15 | その他
脇差 景吉(主水正正清)

 
脇差 景吉作

 これも主水正正清の若い頃の作。正清は惣左衛門正房の門人。正房は美濃の作風を下地とし、相州伝を加味した江戸時代初期に見られるような頑強な作を専らとした。そのため、正清も、景吉と銘を切っていた頃には師正房に似た作を製作している。この脇差が典型。刃長一尺四寸六分と短めながら、身幅広く(一寸二分強)重ね極厚、鎬が立って(二分六厘)頗る重い。地景によって強く立板目鍛えの地鉄も造り込みに相乗して力強く、地沸が肌目を縫うように付き、淡く映りが交じる。互の目に尖刃、矢筈刃、耳形乱刃、湾れ、飛焼といった相州伝を基礎とする焼刃は良く沸付いて変化に富み、金線砂流が掛かり、物打辺りは一段と乱れが強まり、太く長い金線と沸筋が走って薩摩の芋蔓の如き様相を呈する。焼の深い帽子も良く沸付き、乱れ込んで火炎状に掃き掛けて小丸に返る。




刀 薩州住清盈 Kiyomitsu(Masakiyo) Katana

2015-10-06 | その他
刀 薩州住清盈(主水正正清)


刀 薩州住清盈作


 大変珍しい主水正正清の清盈(きよみつ)銘の作。正清は寛文五年薩摩国の生まれで、惣左衛門正房に相州伝を学んだ。将軍吉宗の命で江戸浜御殿において作刀し、優れた出来であったことから一葉葵紋を賜ったことはあまりにも有名。
この刀は清盈と名乗っていた三十歳代前後の作。刃長二尺三寸三分六厘、身幅尋常に重ね厚く、反りを四分に控えた造り込み。地沸厚く付いた地鉄は小板目に小杢目が流れ、地景現れる。浅く湾れた刃文は、刃境に沸が強く付いて刃縁茫洋とし、刃境から地にこぼれるような湯走りが掛かり、沸匂充満して明るい刃中には細かな金線、砂流しが入って二重三重の層を成す。帽子はよく沸付き、掃き掛けて焼き詰め風に浅く返る相州伝の仕立て。