日本刀鑑賞の基礎 by ZENZAI  初心者のために

日本刀の魅力を再確認・・・刀のここを楽しむ

脇差 和泉守國貞 Kunisada Wakizashi

2013-01-11 | 脇差
和泉守國貞

 
脇差 和泉守國貞



 初代國貞が國廣門下で実際に学んだのは国儔。その国儔を手本としたものであろう師風が良く現れている作。造り込みや地鉄、茎の仕立てと銘の切り方はもちろん、国儔が手本とした美濃兼定(之定)の作風、さらに付け加えるとすれば、兼定もまた南北朝時代の志津の作風に影響を受けていると考えられ、即ち、この國貞には志津の風合いが漂っていると言える。身幅広く重ねのしっかりとした頑丈な造り込みは、江戸時代最初期の特徴。南北朝時代には身幅が広いものの重ねが薄く、この点が見どころ。地鉄は古刀期に近いそれとは異なって洗練味を帯びており、小板目肌が詰んだ中に大肌がわずかに現われ、師祖國廣のようなざんぐりとした肌合いも垣間見える。物打辺りには沸映りが現れており、技術力の高さを示している。匂口の締まった互の目乱れの焼刃は、処々に飛焼、尖刃を交え、ゆったりと、しかも地に乱れ込む刃採りも古典に倣ったもの。健全度の高さは、区の深さに現れている。名品の一つである。一尺四寸六分。□


脇差 和泉守國貞 Kunisada Wakizashi

2013-01-10 | 脇差
和泉守國貞


脇差 和泉守國貞

 

 國貞の草書銘は「道和銘」とも呼ばれ、初代國貞の晩年銘として知られている。二代國貞、後の真改も力をつけており、この時代の通例としてあるように、二代もこの銘で代作をしているという研究家もある。地鉄鍛えは均質に詰んだ小板目肌に細かな地景を伴う板目流れの肌が交じって総体に流れるような肌合いとなり、力が漲っている。これに微細な地沸が付いて明るく、さすが大坂地鉄と賞賛され人気が高まった歴史背景を再認識させられる。刃文は互の目を意図的に変化させた互の目乱で、匂を伴う小沸が深く明るく刃先近くまで広がる。処々刃縁に沸が叢付き、これに金線と沸筋が絡み、砂流しが刃沸の中を流れる。
 造り込みは鋒が延びて南北朝時代の磨り上げ物を意図していることが想像される。刀身中ほど近くまで二筋樋を掻き、梵字を陰刻しているところも相州伝。沸の美しさを前面に押し出した、覇気漲る作である。