日本刀鑑賞の基礎 by ZENZAI  初心者のために

日本刀の魅力を再確認・・・刀のここを楽しむ

刀 河内大掾藤原正廣 Masahiro Katana

2012-06-17 | 
刀 河内大掾正廣

 
刀 肥前國河内大掾藤原正廣

 初代正廣の二尺三寸強の張りのある刀。元先の身幅に差がなく、大鋒に仕上げられており、江戸時代初期の特徴が姿からも判る。重ね尋常に樋を掻いて重量を調整している。地鉄は小板目肌が均一に詰んで地沸が厚く付き、肥前肌の特徴を示す。これに細かな地景が交じることによって肌が際立ち、流れるような動きが感じられる。刃文は、丸みを帯びた二つ三つと連続する互の目を湾れで繋いだような、相州古作を斬新な風合いに仕立てたと思われる変化のある構成。焼刃は小沸の粒が揃っており、刃縁に小沸が叢付いて流れ、地中には湯走りとなり、刃中には砂流しとなって淡い足を切る。互の目の丸みの中には処々葉が浮かんでおり、これが目玉のようにも感じられる。これも肥前刀の互の目によくある特徴。焼刃の白さ、冴え、刃中に広がる匂の明るさ、いずれも肥前刀の質の高さを証明している。




脇差 一肥州出羽守行廣 Yukihiro Wakizashi

2012-06-16 | 脇差
脇差 出羽守行廣

 
脇差 一肥州出羽守行廣以阿蘭陀鍛作

 初代行廣は初代忠吉の娘婿吉信の次男。寛文三年に出羽守受領。備前一文字伝の刀工に学んだことから一を冠し、また最新の技術である南蛮鐵を用いて阿蘭陀鍛と添え銘した作がある。本作がその典型。ところが刃文は備前伝ではなく、激しく出入し、不定形の互の目に矢筈乱を交え、飛焼状に湯走りの立つ構成。刃縁に沸が付き、沸ほつれが流れ、島刃状に沸が凝り、地中の沸の流れも強い。地鉄は江戸時代の肥前刀工らしく小板目肌が綺麗に詰んで小沸が付く典型。帽子は小沸が付いて火炎風に掃き掛けを伴って先小丸に返る。総体の景観はまさに相州古伝。