本日、区長に新型コロナウイルス感染症対策についての緊急要望を提出しました。
緊急要望は下記の通り
2021年1月21日
足立区長 近藤やよい様
日本共産党足立区議団
新型コロナウイルス感染症対策についての緊急要望
一年に及ぶ新型コロナウイルスとの戦いに必死に取り組まれている保健師はじめ区職員の皆さんに敬意を表します。
菅政権が新型コロナウイルスの感染が広がる東京と埼玉、千葉、神奈川の1都3県を対象に、1月7日緊急事態宣言を再発令し、その後7府県を追加しましたが、効果の兆しは見えず感染者数が膨らみ、1日の死者が初めて100人を超えました。宣言発令から2週間が経過しましたが、期間の発令後の1週間では全国で新たに6594人の感染者と66人の死者が報告されました。足立区でも感染者の急拡大が続き、かつてない深刻な事態になっています。
陽性判定でも自宅待機が相次ぎ、入院できない在宅死の危険性が拡大しています。濃厚接触者になっても保健所から連絡がこないなどの訴えも相次いでいます。
宣言再発出時の区の対応は、屋内施設の夜間使用制限と職員の会食禁止のみでした。国も、医療機関・高齢者施設への積極的な社会的検査などPCR検査の抜本拡大や医療機関への減収補填など、感染拡大を抑止するための重要な部分が欠落しています。
また、緊急事態宣言により、飲食店の営業時間短縮や20時以降の外出自粛、テレワークの推進などが要請されましたが、対象になった飲食店への補償や支援が不十分であり、多くが苦境に陥っています。区内事業者からは売り上げが十分の一に減ったとの声も寄せられており、地域経済に深刻な打撃になることが予想されます。
また、こうした中で、住民の命と暮らしを守る責務を負っている地方自治体としての足立区の役割は、これまでになく重要となっています。区民や区内事業者の実態に即して国や都の制度に加えて区独自の対策が求められています。一丸となっていのちを守り感染拡大を抑えるため以下の対策を求めます。
- 情報提供と意識啓発について
2度目の緊急事態宣言に多くの方が「普段とあまりかわらない」「緊迫感がない」と感じ、夜間を除いてはほぼ行動変容につながっていません。緊迫した医療現場やストレスフルで必死に対応している介護などの現場とのギャップがあります。
(1)「新型コロナからいのち・くらしをまもる」ことを最優先に、区長先頭に強力なメッセージを発していただきたい。
(2)区のイベントが中止になるなど人と人との接触が減っている中、区職員や管理職に生の声が届きにくくなっている。「傾聴」に全庁的に意識して取り組んでいただきたい。
(3)防災無線を使っての新型コロナウイルス感染症注意喚起は、現在1日午後4時の1回のみだが、より区民への協力を働き掛けるため、感染者数も知らせるとともに放送回数も増やして頂きたい。
(4)ビュー坊TVも活用し例えば「現在の感染者数は〇名。3密を避け、不要不急の外出を控えて」など、情報提供と行動変容を呼びかけていただきたい。
(5)上記外にも、報道公報を中心に、あらゆる媒体での発信を強めていただきたい。
- PCR検査について
区は、都平均よりも感染者数が多い。これは、検査対象を従来の濃厚接触者に絞って、他は「希望があれば」「不安があれば」検査として、無症状の感染者を見つけ出すという姿勢に立っていないことのあらわれでもあり、区の責任は大きい。無症状の感染者が感染拡大を招いているというエビデンスに基づいた対応を行っていただきたい。
(1)介護施設や障害者施設等の職員・入所者等に対するPCR検査の実施に対する補助の対象は、検査は1回のみで充分ではありません。クラスター予防の観点から定期検査をおこなって頂きたい。
(2)学校、保育園、学童保育、医療・介護施設等で感染者が発生した場合、濃厚接触者に限らずすべての児童生徒、利用者、入所者のPCR検査を行い、無症状の感染者を見つけ出して感染拡大防止と、安心して社会基盤の分野が機能できる様にして頂きたい。葛飾区では「1回感染者が発生したら、何回でも全員検査が受けられる」など柔軟な対応を行っています。足立区でも同様の対応をお願いしたい。
(3)上記以外の民間事業所においても、感染者がでれば、濃厚接触者以外も行政検査を行っていただきたい。
(4)葛飾区では感染することで重症化するおそれのある高齢者、基礎疾患がある方の不安解消を目的に、症状がなくても自己負担3000円でPCR検査を実施しています。足立区でも同様の制度を実施して頂きたい。
(5)国に対し自治体の行うPCR検査の地方負担分を全額国庫負担、医療機関の減収補填を行うよう求めて頂きたい。
- 陽性者への対応について
(1)入院・ホテル療養の体制がひっ迫、崩壊状態です。入院の判断基準は、以前は「高齢者・基礎疾患」のどちらかであれば入院できたが、今は「高齢者かつ基礎疾患」でないと入院の対象にもならず、しかも保育園の指数の様に入院を必要とする方をリスト化(入院待機)し、優先順位をつけて入院という状況です。ホテル療養も、家族にエッセンシャルワーカーがいる場合などを優先。一人暮らしまたは家族全員が感染者の場合は自宅。無症状者も自宅療養です。 また感染しても、うつす可能性のある残期間が3日以内(2泊3日)の場合は入れません。これでは感染拡大を防げません。都に対策を強く求めていただきたい。
(2)自宅療養や入院調整待機が急増する中、急激に悪化し命の危険に及ぶ可能性があります。パルスオキシメーターで各自が状態を管理できるよう、調達、貸し出しを求めたところ、「都が230台を提供」と厚生委員会で答弁しているが、直ちに提供を行って頂きたい。また現在の自宅待機者数に対応した台数を調達していただきたい。
(3)「濃厚接触者に認定されても何の連絡も来ない」という訴えが相次いでいます。とりわけ他の自治体との連携が崩壊しています。直ちに「他の自治体から連絡がこなくても、区として対応する」ようにし、広く知らせ対応していただきたい。
- 保健所の体制などについて
感染拡大の状況に合わせて、検査、保護、追跡を迅速に行うため保健所体制の一層の強化を図って頂きたい。
5.障害者・高齢者施設及び医療機関支援について
(1)昨年末実施を予算化した高齢者・障害者施設全従事者へのPCR検査助成については22660人の実施予算となっていますが、申請が146人、実績がゼロ(1/15)で、広く認知されていません。多くの事業所が検査を受けることでクラスターの発生を予防できます。19日に補正予算が成立した「新型コロナウイルス感染症対策介護サービス事業者職員派遣助成制度」も広く認知され多くの事業者が参加して初めて成立する事業です。「感染を抑え収束するために一丸となって取り組もう、協力を」と区長から強力なメッセージを出して、全事業者に届くようにしていただきたい。
(2)医療・介護・障害福祉現場は、通常でも人材不足ですが、長引くコロナ禍でストレスフルで働くことを強いられ離職者が相次いでおり、崩壊しかねません。一方職を失う人も多く出る中、コロナ特別加算などの体制をとって、くらしと仕事の相談室等で、マッチング・斡旋ができるようにして、緊急に人材確保策を強力にすすめていただきたい。
(3)介護者が感染した場合の障害者の入院しての宿泊療養の実績がないことの背景に、障害者が不慣れな場所で一人で療養を受けられないことがある。これを補う対策として、訪問看護やヘルパーの要件や時間制限を緊急対策として緩和し、自宅で療養を受けられるようにしていただきたい。
(4)医療機関に外国人が受診し、会話が通じない中で後から「新型コロナの疑い」が明らかになったケースがあります。外国人が3番目に多い区の対応として、医師が意思疎通ができるように、希望する医療機関にポケトークの導入支援を行っていただきたい。
- 学校・保育園等の対応について
1月18日現在、小中学校69校で155人の感染者、保育施設61か所で99人の感染者が出ています。
(1)外出自粛や人との接触を控えることが求められている下で、小中学校の運営にあたっては、三密を避けるために30~40人のクラスについて加配教員や講師などを配置して臨時的に少人数単位での授業を行うとともに、保育園、幼稚園も必要な対策を講じて頂きたい。
(2)他区では保育園等の登園自粛要請をしている区がありますが、介護従事者など多くの分野に影響を及ぼします。現在の「保育園の自粛要請は行わない」「自主的に自粛した場合は保育料を返金」という区の対応を引き続き行っていただきたい。
(3)感染者が出て、臨時休校・休園になった場合、保護者は「仕事を休む」「子どもの世話が必要」などの対応に苦慮します。国の「小学校休業等対応助成金」「ベビーシッター利用者支援事業」「休業支援金・給付金」など沢山の制度がありますが、知られていません。わかりやすい「保護者の皆様へ」という案内をつくり、平常時から周知を図っていただきたい。またこれらの支援策の殆どは、雇用主が制度を理解し申請を行わないと利用できません。区内事業者への周知を広く行っていただきたい。
7.くらしと営業の対策について
(1)営業時間短縮が要請される飲食店などに対し、確実に事業継続される補償を行うよう国や都に強く求めて頂きたい。
(2)時短営業は、他業種へも影響を与えるものであり、感染拡大防止協力金の対象外の事業も深刻な影響を受けています。しかし何の補償もありません。2回目の持続化給付金の実施を国に求めていただきたい。区としても区内事業者の営業実態を掴むとともに、事業継続のための区独自の支援制度を直ちに創設して頂きたい。
(3)最後のセーフティネットである生活保護制度について厚労省は、「国民の権利」「ためらわずに」利用することを呼びかけているが、区としてもこの立場で積極的な広報や相談対応、申請受理を行って頂きたい。
(4)荒川区では新型コロナウイルス感染症の影響を受けている中小企業等を対象とした、国や都が実施している支援策等を申請する際の手続を支援するため、の専門家が常駐する「新型コロナウイルス感染症に関する中小企業等相談窓口」を開設している。足立区でも専門家を常駐した専門窓口を設置して中小事業者支援策の拡充を図って頂きたい。
(5)コロナの影響から抜け出すまで家賃支援給付金を継続するとともに、3月から予定されている雇用調整助成金のコロナ特例の縮小をやめるよう国に強く求めて頂きたい。
以上